[上]18カ国・地域の踊り子が笑顔で乱舞を繰り広げた徳島市国際交流協会連=市役所前演舞場 [下]きらびやかな衣装で観衆を魅了したバングラデシュの舞踊団=藍場浜演舞場

[上]18カ国・地域の踊り子が笑顔で乱舞を繰り広げた徳島市国際交流協会連=市役所前演舞場 [下]きらびやかな衣装で観衆を魅了したバングラデシュの舞踊団=藍場浜演舞場

 阿波っ子の魂がはじける4日間が12日、徳島市で幕を開けた。軽快なぞめきのリズムに身を任せれば、国境や人種、宗教といった壁はなくなる。戦後72年。国の内外で、他者への不寛容さが影を落とす。そんな中、平和を愛する国際色豊かな踊り子たちは陽気に2拍子のステップを踏み、自然と輪になった。

 午後6時すぎ、英国、中国、ケニア、ポルトガル、ミャンマーなど、18カ国・地域の170人が市役所前演舞場で列を成した。1990年から参加する徳島市国際交流協会連だ。

 青い法被の胸にはトレードマークの太陽。手足の運びにたどたどしさは残るが、輝く笑顔は有名連にも負けない。初参加のロマン・クリストフさん(25)=ドイツ出身、阿南高専短期留学=は「みんなで息を合わせて踊るのが楽しい。(28日の帰国前に)最高の思い出ができた」と喜ぶ。

 協会設立の81年は、米ソ冷戦時代。「共に汗をかき、互いの文化を知ることが平和や国際交流への一歩になる」という信念の下、連ができた。技を磨いて有名連に進む者もいれば、徳島を離れた後も夏には戻ってくる人もおり、それぞれにとっての貴重な日本体験となっている。

 宇都宮市の外国語指導助手(ALT)ルーク・ヨヘさん(30)=米国出身=は鳴門市で働いた2012~14年に連に参加し、今は踊りのために帰ってくる。「踊りを通じて友達が大勢できた。連はファミリーのようだ」と友人と肩を組んだ。

 両国本町と藍場浜公園の両演舞場に繰り出したのは、バングラデシュ文化庁が派遣した最高峰の舞踊団15人。同国に工場を置く縫製業の丸久(鳴門市)の協力で2年ぶりに来県し、平和連の65人と共に、きらびやかな衣装で切れのある回転技やステップを見せた。

 同国では16年7月、邦人7人を含む22人が死亡した飲食店襲撃テロが発生。今回の踊り参加には「傷ついた両国の友好を揺るぎないものにしよう」との関係者の思いがにじむ。振付師でダンサーのカビブール・イスラム・ラタンさんは「平和へ向けた両国の歩みは誰にも邪魔できない」と話した。