ふるさと徳島を支え、徳島の未来を育む活動や業績を顕彰する徳島新聞賞。56回目を迎えた今年は、大賞に徳島県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会(徳島市)、奨励賞にNPO法人あらたえ(美馬市)と阿波忌部麁服調進協議会(吉野川市)が選ばれた。贈呈式は6月1日午後1時半から徳島市のJRホテルクレメント徳島で行う。各団体の活動や思いを紹介する。
【大賞】徳島県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会 (徳島市)
出荷量日本一に尽力
徳島を代表する”あわおどり“の一つ、「阿波尾鶏」は今年、販売開始から30年を迎えた。県のリーディングブランドとして21年連続で地鶏出荷量日本一を誇り、累計出荷羽数は4千万羽を超える。その飛躍を支えたのが、県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会だ。
ブロイラーを補完する新たな種鶏として誕生した阿波尾鶏の生産振興や消費拡大を目指し、1989年8月に設立された。生産・加工販売会社の丸本(海陽町)、貞光食糧工業(つるぎ町)と県養鶏協会、県、ふ化場などでつくる全国でも類を見ない組織体制で、生産から流通までを一貫管理している。
名古屋コーチンや比内地鶏といった名だたるブランド地鶏の追随を許さない圧倒的な量産体制を確立し、収入が低い原種の飼育農家には会が所得補償することで生産を維持する仕組みを構築。関係者の声を聞きながら生産・販売計画を調整し、市場へ安定供給する重要な役割を果たす。
販売面でも貢献度は高い。丸本と貞光食糧工業が個々に販路を開拓するのと並行して、全国の物産展などに会として出展し、地道に知名度を上げてきた。同業者として競合し合う立場の2社が、市場拡大に向けて足並みをそろえて活動して来られたのは会の存在が大きい。
会は現在、東京五輪・パラリンピックをPRの絶好の機会と捉え、選手村の食事への採用を目指している。昨年には食材調達基準を満たすために必要な「GAP取得チャレンジシステム」に取り組み、認証機関から登録を受けた。五輪・パラは新型コロナウイルス感染拡大を受けて1年延期されたが、引き続き品質や供給力の向上に努めていくという。
新型コロナの影響で、阿波尾鶏を取り扱う百貨店や飲食店の休業が相次ぐなど、逆風が吹く中での大賞受賞。辻貴博会長=貞光食糧工業社長=は「受賞を励みにこの逆境を乗り越え、阿波尾鶏をさらに羽ばたかせたい」と意欲をみせた。
阿波尾鶏 県内で昔から飼育されてきた「赤笹系軍鶏(しゃも)」を県が育種改良した地鶏の雄に、ブロイラー系品種「ホワイトプリマスロック」の雌を交配させた肉用鶏。尾が美しく、元気に跳ね回る姿を阿波踊りになぞらえ、「郷土色豊かな鶏に」との思いを込めて名付けられた。適度な歯ごたえと甘み、こくがあるのが特長で、絶妙な価格設定と味のバランスが「手頃なブランド地鶏」と好評を得ている。