街全体に響き渡る2拍子のリズムに、体が自然と動きだす。「踊らにゃ損々」。踊り子に誘われるように、踊りの渦の中へ―。徳島市の阿波踊り(市観光協会、徳島新聞社主催)は3日目の14日、210連が繰り出し、29万人の人出でにぎわった。「見る阿呆(あほう)」では飽き足らなくなった多くの観光客が街中の至る所で「踊る阿呆」となり、踊り天国はクライマックスを迎えた。
この日も各演舞場は開演からヒートアップ。「ヤットサー」「ヤットヤット」。法被姿の子どもたちの威勢の良い掛け声が響き、鳴り物も力強い演奏で応える。ひらひらと美しい手さばきの扇踊りやユーモラスな奴踊りなど、それぞれの連が趣向を凝らした技を披露し、観客を魅了した。
「踊りは、にわかだ」。気軽に踊りが体験できる「にわか連」も観光客に大人気。ぞめきのリズムに酔いしれた県外客や外国人らは、演舞場で、街角で、踊る阿呆になりきり、県都の興奮は夜遅くまで続いた。