木などを回転させながら刃物を押し当てて加工する「ろくろ加工」に取り組む美馬市美馬町鍵掛の南政信さん(69)が、ろくろ加工で作った木の器の展示会を17日から徳島市福島1の市立木工会館で開く。8年かけて培った技術の集大成となる初の個展で、仕上げ作業に熱が入っている。
展示会では、県産のケヤキや桜を加工した抹茶わんやコップ、皿など高さ5~8センチ、直径4~15センチの作品約60点を並べる。気に入った作品は購入できる。
南さんは、家の建て替えで生じた端材の活用を探っていた8年前、家業の水道工事に使用していた鉄パイプなどを切断する機械を専門業者に改良してもらい、ろくろ加工に取り組み始めた。
木工の経験がなかったため、ろくろ加工の誠秀工芸(徳島市北沖洲4)などの指導を受けて技術を習得。器の内側を薄く削るのに苦労したが、3年前に専用の旋盤を購入したり、手作りした30種類の刃物を使い分けたりして、厚さ数ミリに仕上げられるようになった。
徳島市地場産業振興協会の上杉和夫理事長によると、ろくろ加工は繊細な手先の感覚が要求され、一定の精度を保つのが難しい。ろくろ加工の職人は県内に数人だという。
南さんは「薄くて丈夫なのが特徴。保温性も高いので、ぜひ手に取ってみて」と呼び掛けている。
9月3日まで。開館時間は午前9時~午後5時。入場無料。