写真を拡大 黒いTシャツの上に版を置き、白いインクでプリントする堀内隆弘さん。

Monkey-Print 堀内隆弘さん(40・牟岐町出身)

 2014年、34歳のときに大阪から故郷の牟岐町へとUターンした堀内さん。シルクスクリーンプリントと呼ばれる印刷方法で、Tシャツやスウェットなどにロゴやデザインを刷る「Monkey-Print」を営んでいる。

 シルクスクリーンプリントは布や紙だけでなく、平らであれば木やガラス、石などにも刷れるのが特徴。工程としては、アルミの枠に細かいメッシュ状の紗(しゃ)を張ることから始まる。紗全体に溶剤を塗布して細かい穴をふさぎ、その上に図案を置いて紫外線を当てると、図案の部分だけインクを通す版が完成。版にインクをのせ、1枚ずつ手作業でプリントするため、インクのりの微妙なニュアンスの違いが風合いや味として好まれる。

写真を拡大 アルミの枠に紗を張っている。
写真を拡大 一度刷ったあと、乾燥機で乾かす。
写真を拡大 乾燥機で乾かしたあとにもう一度プリント。1色につき少なくとも2回刷るという。

 堀内さんは海南高校(現海部高校)を卒業し、自動車整備士を目指して大阪の専門学校へ進学。資格取得後は、大阪の整備工場で2年間勤めた。徳島のカーディーラーで働く自分の姿を思い描きつつも、せっかく大阪に出てきたのだからここでしか体験できない仕事をしてみたいと、アメリカ村の古着店でアルバイトを始めた。そこは7店舗を展開し、買いつけた商品だけでなく、店のオリジナルTシャツやジーンズ、アクセサリーなどを製造販売していた。堀内さんは製造工場との打ち合わせに加わるようになり、モノづくりの面白さを体感した。約6年間勤務した後、自宅用の印刷キットを購入して独学でオリジナルTシャツの制作をスタート。デザインからプリントまで行い、音楽ライブの会場やクラブイベントで販売した。

 2012年、32歳のとき、より専門的な知識を身につけたいと物流会社のプリント事業部へ就職。独学での制作経験と、自動車整備士の資格を評価され、工場長として工程管理や機械のメンテナンス、スタッフの指導に力を注ぐ日々を送っていた。そんなある日、母親の急逝の知らせが入った。

 急に一人になった父が心配になり、牟岐町へ家族とともに帰ってきた堀内さん。就職先を探すもなかなか見つからず、自宅のガレージでシルクスクリーンプリントを始めることにした。「暮らしていくためには自分で何かやるしかなかったんですよ」。最初の半年間は徳島県内の企業や飲食店への営業に出っぱなし。同時にSNSでの発信を続け、人づての紹介などで徐々に受注を増やしていった。

 「牟岐で暮らしはじめると、店舗の閉鎖や人口の減少に目がいきました。いちばん気になったのは若い人向けの仕事がないこと。プリントの仕事は僕一人でやっていけたんですけど、町内に雇用を作って、活気を生み出していかなあかんて思ったんです」と熱く話す。2016年にかつて縫製工場として使われていた建物に会社を移し、スタッフを2名採用した。二人とも業務縮小や倒産によって仕事を失い、地元で仕事を探しているところだった。少しずつ会社を成長させていきたいと、2017年にはシルクスクリーンプリントのフランチャイズ事業に加盟し、徳島市沖浜東に「プラスワン徳島」をオープンさせた。現在はスポーツチームのユニフォームや、店のロゴを入れたTシャツ、バンドマンや芸人、格闘家のグッズ制作など幅広く手掛けている。「感動を販売することが理念です。できあがった商品を見て“風合いがいい”“仕上がりがキレイ”と喜んでもらえるように制作しています」。

写真を拡大 自社のオリジナルTシャツを着た堀内隆弘さん。長らく途絶えていた牟岐町の秋祭りを復活させるなど精力的に活動。趣味は35歳から本格的に始めたサーフィン。

 また、今年4月に『Don't STOP』というプロジェクトを始動。新型コロナにより活動を自粛しているミュージシャンやアーティスト、ショップ、団体などからデザインを募り、Tシャツを制作。1枚売れるごとに1000円をデザイン提供元に還元する活動を行っている。「一人のプリント屋として今できることをしたいんです」。   

 

>>Tシャツプリント料金(一例)

1色印刷を10枚注文した場合、Tシャツ代込みで1枚1800円。版を作成してプリントするため、注文枚数が増えれば1枚あたりの価格が安くなる。ホームページから注文できる。

住所=牟岐町灘大牟岐田53-6
0884-70-1328
営業時間=10:00〜18:00
定休日=土日祝休
開業=2015年