徳島市役所

 徳島市が待機児童の解消策として2020年度当初予算に盛り込んだ私立認定こども園・保育園の施設整備に対する補助事業について、内藤佐和子市長が見直しを表明した問題が波紋を広げている。計画では20年度に市内8カ所で園を新設・改修し、21年春には新たに計496人分の定員を増やすことになっていた。市長は「過剰な定員確保になる可能性がある」と訴えているが、定員を上回る児童を預かる施設も少なくない中、事業者からは「実態を分かっていない」と疑問の声が上がる。新たに増やす496人の定員枠は過大なのか。

 内藤市長は3日に開いた記者会見で、市の4月1日時点の待機児童数が37人、希望する施設に入れない児童を含めても251人だとし、21年春に増やそうとしている定員枠より大幅に下回っていることを見直しの根拠に挙げた。

 今回の補助事業は、国の子ども・子育て支援法に基づいて市が策定した第2期市子ども・子育て支援事業計画(20~24年度)に沿っている。計画策定に当たっては就学前児童2459人の保護者に保育のニーズ調査をし、22年度までの3年間で約800人分の定員を増やすのが妥当とした。

 このうち20年度は全体の約6割に当たる496人分の新規定員枠を確保することになっていたが、それは20年度の補助対象に選んだ8事業者が計画している定員数を単に積み上げた結果にすぎない。背景には、20年度が待機児童対策の国庫補助率がかさ上げされる最終年度に当たっており、駆け込みで整備すれば市にとっても有利に事業を進められるとの判断があった。

 子ども企画課は「20年度は国の補助率が3分の2で、事業費約16億円のうち市の負担は2億円程度で済む。可能な限り整備しようと考えた」とする。

 支援事業計画では定員確保策として、まず民間を中心に既存施設の利用枠拡大を図る方針を明記。民間の新規参入を促し、参入が難しい区域では公立施設の再編で対応するとしている。

 20年度に整備する予定だった8カ所の施設は1カ所を除いて新設。3年間で民間18カ所の施設を整備し、そのほとんどが新設の予定だった。内藤市長は全てを計画通りに整備した場合、地方債の償還と児童1人当たり年間約30万円の給付金と合わせ、毎年約3億円かかる点も問題視した。

 ただ、市の見直しに事業者からは異論も出ている。市によると、保育施設は保育士の人数や施設の面積基準などを満たす場合、定員以上の児童を受け入れることができる。市は定員超過数を明らかにしていないものの、認定こども園を中心に定員を上回るケースは少なくないとみられる。

 市内のある認定こども園は昨年度、定員を約30人超えて受け入れた。運営する法人の理事長は「潜在的な待機児童は市の想定より多いのではないか」と言う。

 市は見直しに伴い、公立施設を含めた既存施設の活用や保育士確保などを早急に進め、希望施設への入所待ちの251人分を基本に受け皿を整備する考え。こうした市の方針に対してもこの理事長は「延長保育や質の高い教育、保育士の交代勤務などの課題は公立施設で解決できない」と指摘している。