徳島県内の市町村で働く非正規職員が増加している。県の調査では、2016年4月1日時点の職員全体に占める比率は24市町村平均で28・2%。05年より9・4ポイント増え、3人に1人が非正規となっている。北島、松茂両町で40%を超えているほか、13市町村で30%を上回った。正規職員の削減や財政難を背景に、非正規雇用なしでは自治体の運営が立ち行かなくなっている。
24市町村の職員全体に占める臨時・非常勤職員の比率は《別表》の通り。北島町44・9%(111人)、松茂町43・3%(94人)、小松島市39・9%(269人)の順に高く、美波町が39・7%(117人)と続いた。
05年(4月1日時点)と比べて非正規職員の比率は19市町村で上昇。増加率が高いのは美馬市(27・8ポイント増)、佐那河内村(23・0ポイント増)、北島、東みよし両町(22・6ポイント増)などだった。
24市町村の非正規職員は計3506人(16年)で、最も多い職種は一般事務の677人で19・3%を占める。次いで保育士の487人(13・9%)、技能労務職484人(13・8%)、教員・講師412人(11・8%)だった。
非正規職員の比率が最も高い北島町は、行政改革に伴い削減が進んだ退職者の補充を非正規雇用で対応し、人口1万人当たりの職員数51・3人を維持している。2番目に高い松茂町も同様の理由から非正規雇用が進んでおり、町は「他の自治体は正規職員の削減と併せて業務の民間委託を進めている。これを行わずに非正規を含む町職員で担っていく方針の表れだ」と説明している。
職種によっては、半数以上の職員を非正規雇用している自治体もある。阿波市は122人いる保育士の59・0%に当たる72人が非正規。市内で民間事業者による保育所の運営計画があり、正規職員の余剰が懸念されるために増やせないという。
県は3、4年に一度調査を実施しており、24市町村の非正規職員の比率は増加傾向にある=グラフ参照。前回(12年)の調査では24・5%だった。
非正規職員は、正規職員より月額報酬が低かったり、自治体間で残業代や交通費、賞与の有無が違ったりしている。業務内容は補助的なものから基幹的な役割を担う状況に変わりつつあり、同一労働同一賃金の観点から問題が指摘されている。
自治労県本部は「社会保険や手当など非正規職員の待遇改善を求め、行政の都合に合わせた調整弁にならないよう求める」としている。
■待遇整える必要
早稲田大法学部の島田陽一教授(労働法)の話 公務員は権力行使者の側面もあり「非正規ありき」の行政は本来の姿ではない。非正規職員の立場があいまいな中で増員してきた面があり、官製ワーキングプアが進む状況を踏まえても待遇を整えていく必要がある。