徳島市でスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」をしながら運転していた男の車にはねられ、女性2人が死傷した事故から23日で1年となる。ポケモンGOが絡んだ全国で初めての死亡事故として注目されたが、県内ではその後も「ながらスマホ」が後を絶たない。運転中にスマホを見る「画面注視」などが原因の重傷事故は今年に入り3件発生した。県警は啓発活動に力を注ぐが、違反の摘発件数も過去最多ペースで増加している。
県警によると、2007~16年と17年(7月末時点)の携帯電話に起因する交通法令違反の摘発件数の推移は≪グラフ≫の通り。
手で携帯電話を持って話す「保持通話」での摘発は、16年に4691件と07年(8015件)からほぼ半減した一方、「画面注視」は16年2955件と、07年(1334件)から倍増した。
今年も画面注視による摘発は2026件(7月末時点)に上り、過去最多だった15年(3228件)を上回るペースとなっている。4月には東みよし町で、運転手がスマホの地図アプリを見ながら交差点に進入し、衝突事故を起こして相手車両の運転者に重傷を負わせた。
画面注視はスマホが普及してきた10年ごろから増加傾向にあり、県警は「通話に比べ見つかりにくいこともあって罪の意識が薄く、つい操作や受信メッセージの確認をしてしまうドライバーが多いのではないか」とみる。
県警によると、徳島市での死亡事故後もポケモンGOによる画面注視違反が目立つ。ゲーム運営会社は、利用者が一定の速度以上で移動すると操作が制限されるようになる対策を講じたが、制限を解除する方法もあり、完全には防げていないのが現状だ。
県警は8月を「運転中の携帯電話等撲滅月間」とし、啓発に力を入れている。交通企画課の日下達也課長補佐は「画面注視は、前方から視線が外れる非常に危険な行為。ポケモンGOに限らず、運転中の携帯電話使用は絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。
ポケモンGOによる死亡事故
16年8月23日午後7時半ごろ、徳島市の30代(当時)の農業の男がポケモンGOをしながら軽ワゴン車を運転し、同市方上町の県道交差点を横断中の女性2人をはねて70代女性を死亡させ、60代女性に重傷を負わせた。男は自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われ、同10月、徳島地裁で禁錮1年2月が言い渡された。