月末の金曜日に仕事を早く終え、消費を喚起する「プレミアムフライデー(PF)」が2月に全国でスタートして半年を迎える。しかし、徳島県内ではPFに合わせて早帰りを行う企業はほとんどなく、特別サービスを用意したホテルや量販店などは目立った集客につながっていないのが実情だ。官民連携で導入されたものの、企業からは「月末は忙しく早帰りはできない」との声も聞かれ、浸透していない。
阿波銀行は、午後3時まで窓口営業をしているため、早帰りの導入は見送っている。担当者は「月末は支払いなどが集中する。PFの導入は難しいが、普段からなるべく残業時間を減らす努力をしている」と話す。
県経営者協会によると、会員165社に早帰りを導入する動きはみられないという。濱田行雄専務理事は「月末の金曜は忙しい企業が多く、早帰りをするには都合が悪い。働き方改革は、PFにこだわらず時間外勤務を減らそうとする企業が目立つ」と指摘する。
こうした中、地域への直接的な経済効果は薄いようだ。
ホテルのルネッサンスリゾートナルト(鳴門市)では、カフェの夜食メニューを半額にしたり、お酒やスイーツをプレゼントしたりするPF限定の宿泊プランを企画した。しかし、担当者は「PFだからといって宿泊客が急増したわけではない」と説明する。
そごう徳島店(徳島市)では、レストランが割引サービスや限定メニューを、旅行会社やエステサロンがプレゼントを用意。フジグラン北島(北島町)や県内にスーパー7店舗を展開するデイリーマート(美馬市)は、当日のチラシに「プレミアムフライデー」の文言を入れるなどして消費を促してきたが、いずれも目立った効果はないという。
フジグラン北島の松本憲二次長は「企業がもっと早帰りを導入してくれたらありがたいのだが」とこぼす。
官民でつくる推進協議会に統一ロゴマークの使用を申請している県内企業は15社。全国で佐賀県の13社に次いで少なく、PFを商機に生かそうとする動きも盛り上がりを欠いている。