「コロナの感染者が嫌がらせを受けて引っ越した」「あの店はPCR検査の陽性者が利用している」―。新型コロナウイルスに絡むデマの拡散が後を絶たない。県内でも会員制交流サイト(SNS)を中心にデマが飛び交い、混乱が生じるケースもあった。事実に反する虚偽のうわさはなぜ広まるのか。SNS投稿者らの証言を基に背景を探った。

 「自宅に嫌がらせで投石や張り紙をされた。村八分に遭って、県外に引っ越した」

 2月下旬に県内で初めて新型コロナの感染が確認された60代女性に関して、こんなうわさが広がった。旅先で感染し、帰県後は外出を自粛していたにもかかわらず、「友達に土産を渡して回っている」との情報も流れた。

 投石や張り紙の嫌がらせはなく、引っ越してもいない。女性は根も葉もないこうしたデマによるバッシングにさらされた。

 徳島市の30代パート従業員女性はこのデマをツイッターで目にし、友人からも聞かされた。「みんなが言っていたから」。信じ込んでしまい、「感染したらウイルスよりも嫌がらせの方が怖いね」と同僚と話したという。

 虚偽の情報と知った女性は「信ぴょう性があって疑わなかった」と絶句。「どこからそんな話が出たのか。安易に信じたらいけない」と自戒した。

 県内の40代女性医療従事者は「引っ越した」との書き込みをフェイスブックで拡散した。「『拡散希望』とあり、みんなに早く伝えたかった」と振り返る。うそだと分かって削除したものの、「落ち着いて対応すべきだった。本人を傷つけてしまったのであれば、悪いことをした」と話した。

 コロナを巡るデマは各地であふれた。「(集団感染があった)クルーズ船の乗船者が公営プールで泳いでいる」「感染が判明した大学生が自殺した」「キャンプ場が県外ナンバー車であふれている」・・・。

 「感染した人が入院している」とのデマが流れた病院の近くに住む30代男性は「病院に行かないだけでなく、『外へ出るのも控えよう』と複数の住民が言い合っていた」と証言した。

 不安心理につけ込んだ不確実な情報で、日用品の買い占めも起きた。「トイレットペーパーが品切れする」。2月末、ツイッターでそうリツイート(拡散)した県東部の30代男性公務員は「ウイルスで社会が崩壊するという不安につけ込まれたのかもしれない。ネットは瞬く間に伝わり、匿名なので便利だが、そこが一番怖いところだ」と話した。

 「信じて拡散」35% 総務省全国調査

 総務省は19日、新型コロナウイルスを巡る偽ニュースや誤情報の調査報告書を公表した。誤った情報に接した人のうち、正しい情報だと信じるなどして共有や拡散をした経験があるのは35・5%に上った。情報を信じた割合は10代の若年層が高い傾向となり、真偽を見極めるための取り組み強化が求められそうだ。

 調査は5月中旬、普段からインターネットを利用する15~69歳を対象にネットで実施し、2千人から回答を得た。新型コロナ関連の偽ニュースがネット上で出回ったことを受け、実態を調べた。

 専門機関が認定した偽ニュースで目立ったのは感染予防に効果があるとの情報。「お湯を飲む」を正しいと信じた人は8・1%、「ニンニクを食べる」は14・8%だった。

 コロナの情報を「1日に1回以上」見聞きした人は95%超で、関心の高さがうかがえた。