<知ることの艱(かた)きに非(あら)ず、行うこと惟(これ)艱し>。頭で理解するだけならさほど難しくはないが、実行に移すのは簡単ではない。このことわざには、さまざまな変種がある

 中国の革命家、孫文はこう改めた。<知るは難く、行うは易(やす)し>。作家の魯迅(ろじん)はさらに<知るは難く、行うは難し>ともじって、時の政権の無策を皮肉った

 「知るは難し」。外交攻勢をかけるこの国の真意を、どう読み解けばいいのか。北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止、北部の核実験場の廃棄を表明した。国家戦略だった核と経済建設の「並進路線」の「勝利」を宣言。これからは経済優先だという

 何かといえば「勝利」の国柄はともかく、米朝首脳会談に向けてカードを一枚切った。そういうことになるのだろう。国際社会の懸念を無視し、ためこんできたカードは何枚もある

 トランプ米大統領は「大きな前進」と歓迎したが、北朝鮮は既に最大60発の核を持つとされる。日本を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」も生きている。中途半端な妥協は許されない

 トランプ氏に金正恩(キムジョンウン)氏。本心を「知るは難し」の2人が、とにもかくにも主役の米朝外交戦。核・ミサイルの放棄まで制裁の緩和を認めない。常識的な日本の立場が、いつにも増して頼りなさげに見えるのは気のせいか。