徳島県は26日、徳島市の20代女性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者は6人目で、陽性確認は4月21日以来66日ぶり。県によると、女性は今月15、16両日、大阪府に滞在してホストクラブを訪れており、県は大阪で感染したとみている。女性は帰県後の17~25日、徳島市内の性風俗店で計30人に接客していた。発熱などの症状が出た後も接客を続けており、飯泉嘉門知事は「クラスター(感染者集団)に発展する可能性が拭えない。不安を感じる人は相談してほしい」と呼び掛けた。

 県によると、女性は20日に発熱や喉の痛みを感じ、25日に嗅覚や味覚に異変があったため、帰国者・接触者相談センターに連絡。26日未明、県立保健製薬環境センターのPCR検査で陽性が確認された。同日午後に感染症指定医療機関に入院。症状は安定しているという。

 県は女性と同居している男性と、勤務先の男性店長が濃厚接触者とみて26日にPCR検査を実施し、陰性だった。濃厚接触者ではないものの勤務先の従業員6人も検査を受け、いずれも陰性と確認された。

 女性が17~25日に接客したのは30人で、そのうち8人と連絡が取れたため、県はPCR検査を受けるよう促している。残り22人の連絡先は不明で、この期間に性風俗店を利用した人に注意を呼び掛けている。県は店名を公表しておらず「同意が得られるよう努力しているが、現段階では拒否されている」としている。

 女性は15日に店長が運転する勤務先の車で大阪に向かい、大阪市内のホストクラブを利用。16日午前9時50分南海なんば発の徳島バスの高速バスで徳島に戻った。移動中はマスクを着用していた。帰県後の17、19、20、21、23、24各日に徳島市内の同じ飲食店を利用した以外、女性の立ち寄り先は分かっていない。県はこの飲食店の従業員14人にPCR検査を受けるよう勧める一方、濃厚接触者はいないとして店名は非公表としている。

 県は、業界団体などによる感染防止ガイドラインが策定されていない業種だとして、同様の形態の214業者に対し、従業員の体調が悪いときは業務に従事させないようにするなど、文書で注意喚起した。

 会見した知事は「県の専門家会議の委員に助言を受けるとともに、(移動自粛や休業要請を行うための独自基準)『とくしまアラート』の発動も視野に適切な対応ができるよう体制を整える」と述べた。