南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、藍住町勝瑞の理容店「理容たけうち」が、理美容設備を備えた特殊車両「移動理美容車」を使い、避難者に洗髪サービスを行う。避難生活が長引いた際、衛生面や心理面で住民を支えたいと、竹内俊樹代表(53)が発案した。23日に町と協力協定を結ぶ。町によると、同様の協定は県内で初めて。
移動理美容車は、宅配や米の運搬で使われていた車両を改造。荷室部分にいす、鏡、湯沸かし器付き洗髪台を備えている。車いすのままで乗り降りできるリフトもある。
理容たけうちは、2003年と06年に移動理美容車を購入。月1回程度、町内外の高齢者宅や福祉施設を訪問し、洗髪などの有償ボランティアを続けている。
協定では避難生活が1カ月を超えた場合、町の依頼を受けて指定避難所を訪問。高齢者や障害者らを中心に、洗髪する。
町総務課危機管理室によると、町内では南海トラフ巨大地震発生時に4600人、中央構造線断層帯の直下型地震で9400人の避難が想定されている。
竹内代表は「少しでも皆さんのお役に立てればうれしい」と話している。