過去最多の465点の応募があり、集計に追われる徳島文学協会会員。中央が佐々木さん=徳島市応神町の四国大

 徳島をテーマにした全国公募の掌編小説コンクール「第3回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」(徳島文学協会、徳島新聞社主催)の募集が締め切られ、昨年の426点を上回る最多の465点の応募があった。最終選考委員が芥川賞作家2人に増えたことや、外出自粛の影響で自宅で小説を書くきっかけにつながったのが増加の原因。今回からメールでの応募が可能になったことも相乗効果となり、3年連続の400点超えとなった。

 10日(当日消印有効)の締め切り直前に300点以上の応募があった。全国41都道府県から作品が寄せられた。メールでの応募が全体の半数以上の254点を占めた。

 内訳は県内(徳島県出身者を含む)が174点、県外が291点。県内からの応募が昨年より51点減ったものの、県外からは90点増えた。都道府県別(徳島を除く)では、東京が81点で最も多く、大阪が40点、神奈川28点と続く。茨城、埼玉、千葉、京都、兵庫、広島からも10点以上が寄せられた。

 25歳以下の作品は前回より34点少ない74点だった。最年少は12歳、最年長は92歳、平均年齢は45・6歳。

 2018年に創設された阿波しらさぎ文学賞。第1回と2回は、父親が小松島市出身の芥川賞作家吉村萬壱さんが最終選考委員長を務めたが、今回から夫が徳島県出身の芥川賞作家小山田浩子さんが加わり、応募数増加に結びついた。9月12日に開かれる表彰式関連の文学トークに、小説「流浪の月」で今年の本屋大賞に輝いた話題の作家凪良ゆうさんがゲスト出演することも追い風になった。

 1次選考を行う徳島文学協会の佐々木義登会長(四国大教授)は、新型コロナウイルスの感染拡大というこれまで体験したことがない状況の中で、社会と自己の関わりを見詰め直したり、自分のアイデンティティーを掘り下げたりする機会が創り出されたのではないかとみている。

 その上で「今までとは違った切り口で表現された作品も多いはず。文学の新たな兆しを見つけられることを期待して選考に当たりたい」と話している。

 1次選考を経て、吉村さん、小山田さん、佐々木さん、岡本光雄徳島新聞社理事の4人による最終選考会が行われ、8月に受賞作が決まる。