新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休校となっていた徳島県内の公立小中学校が再開し、1カ月が過ぎた。各学校は感染防止のための「新しい生活様式」を取り入れながら、授業の遅れを取り戻すのに懸命だ。感染症対策や授業内容の見直しで教員の負担は大きく増えており、担任教諭らは急ピッチで進める授業や受験を控える生徒への対応に戸惑いを感じている。

 県西部の小学校では放課後、教職員全員が教室の机や椅子、階段の手すりなど児童が触れる場所の消毒作業に追われる。授業中だけでなく、休み時間も児童が密集や密接の状態になっていないか注意し、給食は前を向いたまま話さずに食べるよう指導する。

 4年生の担任教諭は「とにかく『密』を避けるのに神経をとがらせている。子どもも窮屈な思いを強いられ、学校を嫌いにならないか心配だ」と疲れた表情を見せた。

 授業の制約も多い。文部科学省の感染症に関する衛生管理マニュアルでは、感染リスクが高い学習として「近距離で対面式となるグループワーク」のほか、体育の接触を伴う運動、音楽の歌唱、家庭科の調理などが入っている。

 同じ小学校の担任教諭は「こんなに授業内容を変更する年はない。教員の負担は確実に増えている」と漏らす。授業の進み具合を見ながら、1、2カ月先の学習内容を密集や密接を避けたものに調整する。球技大会は中止し、秋の運動会は時間を縮小する方針だ。

 県南部の小学校では感染リスクが低い学習を中心とした特別時間割を組み、教員が分担して各教科の対策を練っている。国語では複数人で机を向かい合わせて行う対話学習をやめ、十分な距離を保って代表数人が発表する形式に変更した。

 国語主任の女性教諭は「直接話すことで新たな発見や考えが生まれ、学習に深みが出る。対話の大切さを伝えたいけれど、現状では難しい」と語る。

 長期の臨時休校で授業は大幅に遅れている。授業日数が20日以上不足している県北部の中学校は、夏休みの短縮に加え、平時にコマ数を増やして補う。

 数学を受け持つ男性教諭は、知識の定着を図る練習問題を解かすのを最小限にとどめ、教科書の内容の説明を中心にした授業で取り戻しを急ぐ。「教員は年度内に授業を全て終えられるか重圧を感じながら教えている。いつか詰め込み授業のしわ寄せが出るだろう」と危惧する。

 高校受験を控える中学3年生は例年1月末までに教科書の学習を終えるが、今年は遅れることも想定される。県教委は進捗状況を見極めるため、入試の出題範囲の公表を8月とした。男性教諭は「3年生は不透明な状況に不安を感じている。今のままでは学力を着実に高め、それに見合う志望校を絞り込んでいけるか心配だ」と話した。