南里さん(右端)からSUPを教わる体験スクールの参加者=徳島市の新町川

 水に浮かべたボードに立ち、パドルでこぎ進むスポーツ「SUP(スタンド・アップ・パドルボード)」の人気が、徳島県内で広がっている。初心者でも気軽に取り組みやすい上に、吉野川など豊かな水環境が整っていることもあり、各地で楽しむ人の姿が目立つ。修学旅行の体験型観光のメニューにも取り入れられるなど、新たな観光資源としても注目されている。

 SUPのコースとしてよく利用される新町川近くで、パドルやボードを販売している南里尚志(ひさゆき)さん(52)によると、格安で指導を受けられるなど特典のある同店の会員数は現在約150人に上る。販売を始めた9年前はわずか2、3人だった。

 会員の住瀬秋彦さん(43)=藍住町住吉、会社員=は「サーフィンやウインドサーフィンと違って、波や風がなくても自力で動かすことができるので取り組みやすい」と魅力を語る。

 会員の年代はさまざまで、南里さんは「立ったままバランスよくパドルを動かすことで体幹も鍛えられる」と強調する。競技力も高めようと、南里さんは仲間と共に全日本選手権予選を兼ねた大会を吉野川河口で5年前から開いており、今年は県内外から過去最高の247人が出場した。

 海陽町宍喰浦のサーフショップ・パビリオンサーフは全国的なSUP人気の高まりを受け、2013年から町内の那佐湾でツアーを開催。1年目は100人程度だったが、今年は既に600人が参加した。

 「今やサーフィンと並んで店の事業の柱」と同店の金子亮太代表(37)。女性の友人同士や親子連れが多く、大半が京阪神などからの県外客という。県西部の三好市でも盛んで、ラフティング運営会社のサファリは2年前から、同市池田町の池田ダム湖などでスクールを開き、毎年50人ほどが訪れている。

 シーカヤックなど体験型観光による修学旅行の誘致に向け、海部郡3町でつくる南阿波よくばり体験推進協議会は、SUPをメニューに追加。16年度は大阪府内の2中学校の98人、17年度はこの2校を含む府内4校の158人が体験した。

 体験型観光に詳しい徳島経済研究所の元木秀章上席研究員は「徳島がサーフィンやラフティングなどの水上スポーツのメッカとして知られていることも、SUPが定着する要因ではないか」と分析している。