新型コロナウイルスの接触確認アプリの画面。奥は繁華街活性委員会が作ったアプリ活用の啓発チラシ

 徳島市の性風俗店に勤める女性の新型コロナウイルス感染が確認されて以降、市内の繁華街にある飲食店で予約のキャンセルが相次いでいる。市中感染を恐れて企業などが飲み会の自粛を促しているためで、飲食店関係者は客足が再び遠のくのを懸念している。一部の店では感染者と濃厚接触した可能性がある場合、スマートフォンに通知が届く国の「接触確認アプリ」の活用を呼び掛けるなど、感染防止と風評の払拭に力を注ぐ。

 「当日のキャンセルは約50人に上った。取り消し料はもらえず、大変だ」。女性の感染が判明した26日、市中心部で居酒屋3店を営む庄野浩司さん(46)は対応に追われた。

 落ち込んでいた売り上げが前年同時期の約50%にまで回復したばかりの揺り戻し。29日は予約がなくなり、今週末にも影響が出ている。「やっと店に活気が戻ったのに。従業員の生活もあるし、閉めるわけにはいかない」と嘆く。

 移動自粛要請が解かれた19日ごろから企業などの懇親会や歓迎会が徐々に開かれるようになり、「夜の街」はにぎわいを取り戻しつつあった。石川恭平さん(33)が経営する秋田町1のバー(12席)は常連客らで満席になる時間帯があり、6月の来店者数は例年を上回った。

 「会社から飲みに行くなと言われた」。石川さんは先週末、知人の会員制交流サイト(SNS)への投稿を見た。書き込み通り、日増しにバー周辺でビジネスマンの姿は減少している。「他の会社も同じなのか。客足が途絶えた4、5月に戻るのかと思うと不安しかない。クラスター(感染者集団)が発生したら、繁華街は崩壊してしまうだろう」

 飲み会を取りやめた人からは市中感染を不安視する声が上がる。接客業の40代女性は、市内の居酒屋で30日に予定していた同僚との飲み会を中止した。「今回のケースは感染者との濃厚接触者が多く、行動範囲も明らかになっていない。妊婦も誘っていたので、もしものことがあるといけないと考えた」と言う。

 市中心部への外出控えに対し、秋田町周辺や徳島駅前の居酒屋とバー約40店でつくる「繁華街活性委員会」は、接触確認アプリの啓発に乗り出した。来店客に利用を呼び掛けるチラシを作り、29日から店に掲示している。

 アプリはスマホに搭載された近距離無線通信「ブルートゥース」を利用。アプリを取得した人同士が1メートル以内に15分以上いると、互いのスマホに接触記録が残る。後日陽性になった人が保健所から知らされた処理番号をアプリに申告すれば、接触記録がある人に陽性者との接触確認が通知される。

 富田町2で野菜巻き串屋を営む森国彦委員長(38)は「接触した可能性があると分かれば、早めに検査を受けられる。アプリの利用者が増えると感染拡大の防止につながり、安心してもらえるはずだ」と話した。