徳島発のコミックバンド「四星球」が4日、徳島市のアスティとくしまで四国4県ツアー「動け四星球」の初日公演を開く。新型コロナウイルス感染を防ぐため、5000人が入れる広い会場で観客を80人に制限。前代未聞、採算ラインぎりぎりの今回の挑戦について、メンバー4人が熱い思いを語ってくれた。(敬称略)

 「動け四星球〜踊る阿呆に見る阿呆〜」

 徳島公演は午後1時半からと4時からの2回開催。会場に入れるのは計160人で、3200円のチケットは四国在住者限定で募った抽選で完売している。2回目の公演はインターネットで有料生配信も行う。

 ―今回のツアーはどのようなきっかけで開催されることになったのですか。

 U太 新型コロナの影響で春ツアーが秋に延期になり、代わりに始めた配信ライブも6月21日にいったん終わることが決まっていたので、次につながる取り組みを考えていました。その中で「四星球はライブバンド。お客さんの前で演奏したい」という思いが募りました。そして、広い会場の方がお客さんも安心して楽しめるだろうという単純な発想から、県民にも親しみがある「アスティとくしま」を選びました。

 まさやん ただ、当時メンバー内では「いいアイデア」と盛り上がっていましたが、本当にできるのかと不安で、先が見えない状態でもありました。

 U太 このままだとバンドの動きが止まってしまうと、5月中にアスティさんに声を掛けました。「今後に向けた第一歩としていいですね」と賛同してもらい、話が動き始めました。

 

 ―5000人が入れるアスティとくしまで観客を80人だけにした理由は。

 U太 本当はもっと収容できますが、お客さんに安心して楽しんでもらうためにできる限り会場にいる人数を減らしたいという思いがありました。運営スタッフの人数を減らしてお客さんを増やす方向になりましたが、少ないスタッフで誘導や消毒作業などをしっかりとする必要がある。バランスや企画の1回目ということを考慮して、80人という人数を設定しました。

 ―ツアータイトルの「動け四星球」にはどのような思いが込められていますか。

 北島康雄 春ツアーが丸々延期になるなど、これまで活動してきた中でも初めての事態に遭遇して「この先いつライブができるのか」と先が見えないもどかしさを感じてたので、そういった状況を打開したいという思いを込めました。あと、配信ライブの時に電波状態が悪くて僕らがフリーズしてしまうというネタをやっていて、その時に視聴者の方からコメント欄に「動け四星球!」と書いてもらうやり取りが定番になっていたので、春の配信ライブが今回とつながっているということを印象づける狙いもありました。

 ―徳島だけの公演でなく、四国4県を巡るツアーにした理由は。

 北島 単発のライブではなく、ツアーという形でこの取り組みを継続させることで、コロナ以前のような日常を取り戻すことにつながるのかなと思ったからです。そして我々は四国のバンドなので、4県を巡るツアーにしました。

 ―どんなライブになりますか。

 北島 お客さん同士が距離を取ったり、こまめに消毒したりして今までとは違うライブになると思いますが、そういったことを感じさせない楽しいライブにしたいです。そして、今回の企画を成功させて培ったノウハウを、休業が続くライブハウスでの公演再開に生かせるようにしていきたいと思っています。

 U太 会場にいる人も配信を見ている人も楽しんでもらえるライブにして、エンタメが持つ意味を改めて感じてほしいです。

 ―会場と配信での視聴という、環境が異なるお客さんに向けてライブを行う難しさはありますか。

 北島 これまでは目の前にいるお客さんだけとのライブでしたが、今回はお金を払って、時間も掛けてくれている配信のお客さんもいるので、ライブバンドとしてスタンスが難しいです。僕らの目には見えない人にも何か届けなくてはいけないというのは、ライブバンドのキャパシティーを超えていますね。今回のライブでそこを探したいです。

 モリス どんな感じになるのか想像もつきません。目の前にはいないけどリアルタイムで見てくれている人もいて、実際に目の前にもお客さんがいる。本当に挑戦ですよね。今回の挑戦を経て、どうなるのか、初日ですのでいろいろと感じたいです。

 ー3月から生配信ライブを行っていますが、お客さんが全くいない中でのライブの手応えは。

 まさやん 1回目の配信では「ライブのテンションになるかな」と心配だったんですが、いざ始めてみると楽しかったです。お客さんもコメント欄やツイッターなどに感想を書き込んでくれて、楽しんでもらえたことが分かってホッとしました。誰もいないフロアに下りて演奏した時は、バンド初期のお客さんがガラガラだった時を思い出してノスタルジックになったりもしました。

 モリス やってみたら意外と楽しかったし、お客さんも新しいスタイルを見せてくれていると感じてもらえていたらうれしいです。ただ、ライブ中にどこを見ればいいか分からない時がよくあって、普段のライブではお客さんの方をみて演奏するなどしてとコミュニケーションを取ろうとしてたんだなと、改めて気付いてさみしくなったりもしました。

 北島 お客さんがいてくれると、ライブが思ってもみなかった方向に進むなど、想定外の出来事に直面する面白さや楽しさがありました。配信ライブでは僕らが思い描いたようなライブにしかならないので、「こんな風になるのか」という驚きがなく、お客さんと作っていたあの空気を感じられないのがさみしいです。配信はメンバーで作るもの、ライブはお客さんたちと作るものなんだと途中で分かってきて、配信ライブを重ねているうちに、コメント欄を活用するなど見ているお客さんも絡めるような空気を作るようにしました。

 

 ―新型コロナの影響で思うような活動ができない現状をどのように感じていますか。

 U太 メンバーと話をする時間が増えました。こんな状況では、メンバー同士でしっかり話し合って意思疎通をしながら次に進まないといけないので。昨年は本当に忙しくて目まぐるしく過ぎていったので大きな違いです。

 北島 真面目にならないように努めました。1人になりすぎると悪い意味で感覚が研ぎ澄まされて、今の世の中を反映した真面目な曲を作ってしまうなど四星球らしくなくなってしまうので。
そういった意味で、僕たちはみんなが徳島に住んでいて、クラブ・グラインドハウスを拠点に他のバンド仲間よりメンバー同士で集まる時間があるので救いでした。

 ―新型コロナの影響でグラインドハウスを含む全国のライブハウスは苦境に立たされています。

 北島 ライブハウスへの悪い風評が流れていましたが、自粛期間中に僕の知人などからも同様の話を聞いて「報道以上に悪く思われている」と感じました。世の中のライブハウスに対する見方をいきなり変えることは難しいけど、休んでいるだけで伝わるものではないので、活動しながら伝えていかないといけない。

 そこで、四星球の「アホなことをいつもしてます」みたいなスタンスのバンドがまずは行動しなければいけないという変な使命感を持っています。今までちゃんとしたバンドがいたおかげで、邪道のような僕らが活動できていたので、今こそ逆に僕らがやらないといけない。

 ―新型コロナへの不安が続く中、今後の活動の展望は。

 U太 春ツアーが秋に延期になりましたが、これまで通りの公演みたいにできるのかどうかも分からない状況で、チケットを買ってくれたお客さんに対して、どう安心してどう満足してもらえるライブにできるのかが課題です。

 北島 「分からない状況しか続いてなかったものが、今後も続いていく」とポジティブに考えていきます。ただ一つ言えるのは、徳島のバンドで良かったということです。地域のバンドだからこそ、一つのライブハウスともここまで密になれたし、アスティとくしまさんみたいに、近い関係性を築くことで協力してもらえるので。ローカルバンドで良かったと今回のライブを見てもらえる人にも伝わってほしい。

コロナ対策を徹底したライブを開催する四星球の(左から)U太さん、北島康雄さん、モリスさん、まさやんさん=徳島市のクラブ・グラインドハウス

 ー徳島のファンにメッセージをお願いします。

 U太 笑うことが少なくなっている状況ではございますが、笑ってもらえるような時間になるように頑張りますので、ぜひ楽しみにして視聴してください。

 有料配信のチケットは1500円で、配信サイト「ストリーミングプラス」と「ぴあライブストリーム」で販売中。徳島以外のツアー日程は今後発表される。http://su-xing-cyu.com/news/200704ugoke/