徳島県内6例目の新型コロナウイルス感染者となった徳島市の20代女性が、ツイッター上で感染発覚に至るまでの経緯を記している。入院先の病院で徳島新聞の電話取材に応じ、「インターネット上では私に対する批判や無関係な人への攻撃、デマがあふれている。誤解を解きたい」と訴えた。

 ―6月26日未明、PCR検査の結果、陽性と診断された。どう思った。

 同居している男性や(勤め先の性風俗店で)接客したお客さんに感染していないか心配している。迷惑を掛けて申し訳ない。

 ―15、16両日に大阪に滞在し、翌日から25日まで接客した。

 大阪には店で使う宣材写真を撮影するため、店長と一緒に車で行った。15日昼に店長と別れて1人でカラオケ店へ。夜はホストクラブ4軒を回り、16日朝に高速バスで徳島に戻った。

 ―各地で感染が相次いでいるホストクラブへの出入りは軽率だったのではないか。

 危機管理意識が低いという批判は正論で、反省している。しかし当時、国は県をまたぐ移動を許可しており、ホストクラブに休業要請などはなかった。犯罪者のように攻撃されるのはつらい。

 ―県は大阪で感染したとみている。

 自分が行ったホストクラブで感染者が出たという話は聞かない。(自分が勤め先の性風俗店で)接客したお客さんの中には、東京や大阪、神戸から来たという人がいた。徳島県は大阪で感染したと決めつけるべきではない。

 ―インターネット上には、感染者を特定しようとする書き込みがある。

 無関係な人や店の名前を見掛ける。感染者をあぶり出そうとする行為はやめてほしい。ネット上の言葉は攻撃的で、「徳島にいたら殺されるかもしれない」という恐怖すら感じる。

 ―20日は発熱した後も働いていたのか。

 午前4時に体温を測定すると37度4分あった。だけど、午後2時には平熱に戻ったので出勤した。店には「熱がなければ出勤しても大丈夫」と言われた。

 ―25日には味覚と嗅覚に異常を感じ、帰国者・接触者相談センターに連絡した。

 25日未明に自宅で焼き鳥を食べたら味がせず、シャネルの香水の瓶に鼻を近づけても何も匂わなかった。店に相談すると「熱がないから大丈夫」と言われた。午後4時ごろに1人接客した後、センターに電話して検査を受けた。これ以上、感染拡大のリスクを高めるのは避けるべきだと思った。

 ―勤務先では感染予防を行っていたか。

 女性従業員とお客さんは手のアルコール消毒とうがいを徹底していた。検温は義務でなく各自の判断で行っている。女性従業員によっては公開ブログに体温を記載し、安全をアピールしていた。スタッフ同士が接触する機会は少ない。

 ―大阪から戻って以降の行動範囲は。

 自宅と職場、それと職場近くのホストクラブしか行っていない。徳島市中心部から外に出ていない。

 ―自身の行動を振り返って。

 20日に微熱が出た時は感染していると思っていなかった。あの時、保健所に連絡していたらと思う。被害を防ぐために、不安を感じたらすぐに相談してほしい。

 〈県内6例目の新型コロナウイルス感染〉 6月26日、徳島市の性風俗店に勤める20代女性の感染が確認された。県の調査によると、女性は20日に発熱があり、その日のうちに熱は下がったものの、25日、味覚や嗅覚に異常を感じた。勤務先では17~25日に計30人を接客。15、16両日には大阪を訪れ、大阪市内のホストクラブなどを利用していた。県は女性と同居する男性、勤め先の男性店長、客30人が濃厚接触者とみて、PCR検査を受けるよう呼び掛けた。30日までに同居男性と店長、客8人の陰性が確認された。