鳴門市大津町の徳島自動車道下り車線の路肩に止まっていたマイクロバスに大型トラックが追突し、16人が死傷した事故から1日で1週間となる。捜査関係者によると、自動車運転処罰法違反の疑いで県警に逮捕されたトラック運転手菊池誉司容疑者(50)=松山市南久米町=は前方不注視の状態に陥っていた可能性が高く、居眠り運転との見方が強まっている。悲惨な事故はなぜ起きたのか。全容の解明が急がれる。

 現場は、神戸方面から鳴門ジャンクション(JCT)を通過して徳島道の本線を走る車と、高松自動車道の上り車線からの車が合流する地点。捜査関係者らによると、トラックは本線から2メートルほど合流車線側にはみ出して走り、路肩に停車していたバスに追突した。

 これまでの県警の調べに、菊池容疑者は「前をよく見ていなかった」と供述。「ぼーっとしたまま運転していた」とも話している。現場は見通しの良い緩やかなカーブで、明確なブレーキ痕が残っていなかったことから、「居眠り運転の可能性が高い」と指摘する専門家もいる。

 県警はトラックの運行会社「東西物流」(松山市)を28日に家宅捜索し、運行計画に無理がなかったかなどについても捜査している。
 エンジントラブルで路肩に止まっていたバス側の対応に疑問を投げ掛ける声もある。

 路肩は幅約6メートルで中央付近にポールコーンが並んでおり、バスはコーンに沿って車線側に停車していた。

 徳島大の奥嶋政嗣准教授(交通工学)は「コーンの間から進入して路肩の最端(ガードレール側)に停車していれば、被害は軽減できたかもしれない。高松道から進入してくる車に追突される可能性もあった」とし、合流地点での駐停車の危険性を強調した。

 高速道路上での駐停車は道交法で禁止され、やむを得ない場合は後続車に危険を知らせることが定められている。バス運転手は三角表示板などを設置していなかったとみられ、県警などに通報もしていなかった。

 徳島運輸支局は近く、バスを運行していた「阿波中央バス」(阿波市)を立ち入り調査する方針だ。

 一方、徳島労働局と鳴門労働基準監督署は、バス運転手が亡くなったことや乗客に神戸市の専門学校の女性職員が含まれていたことから、労災事故の可能性があるとみて阿波中央バスの事務所を立ち入り調査した。愛媛労働局は東西物流を調査し、菊池容疑者の労務管理の状況などについて調べている。

 事故ではバス運転手岡本勉さん(30)と、神戸市の専門学校見学の帰りだった乗客の富岡西高1年森下汐音さん(15)が死亡した。

 2015年に開通した鳴門JCT-徳島インターチェンジ(IC)間では初めての死亡事故で、一度に15人以上が死傷するケースは県内では少なくとも過去10年間、発生していない。