3カ月以上車庫に止まったままのアイネットのバス=徳島市川内町大松

 新型コロナウイルスの影響で、徳島県内の貸し切りバス事業者が窮地に陥っている。緊急事態宣言は解かれたものの、学校行事や観光旅行、冠婚葬祭の需要は戻らず、バスを動かせない状況が続く。感染第2波による予約のキャンセルも懸念されており、「トンネルの出口が見えない。事業を続けるべきなのか」と頭を抱えている。

 アイネット(徳島市)の山田延亮社長(56)は「3月から売り上げは壊滅状態。バスの出番は全くなくなった」と話す。修学旅行や遠足、部活動の遠征、企業研修の送迎などが相次いでキャンセルされ、所有するバス30台は3カ月以上の間、車庫に眠ったまま。2週間に1度、30分ほどエンジンをかけてバッテリーが上がるのを防いでいる。

 休業中の運転手ら約20人に基本給を支払うため、3年間無利子の借り入れをした。しかし、新型コロナによる損失を取り戻す手だてはない。例年7、8月はスポーツ大会などの遠征があるが、今年は夏休みの短縮で見込めない。延期された修学旅行や遠足の予約が入っている10月以降も、感染状況によっては再キャンセルの恐れがある。

 山田社長は「収束の見通しが立たない中、新型コロナでできた借金を返すのに10~15年はかかる。従業員の給料も少ないままで心苦しい」と表情を曇らせた。

 家族経営のすだち観光(佐那河内村)は3月以降、昨年に比べて1カ月当たり200万円ほど売り上げが減った。個人旅行や結婚式の送迎がなくなり、葬儀については少人数化でマイカー移動が主流になったのも影響した。村からの救急車出動要請に関する業務委託費が唯一の収入だ。

 出費を抑えるために今春、保有するバス6台のうち2台の車検を受けなかった。日本車の人気が高い東南アジアにバスを売って収入を得ようとしたものの、コロナ禍で買値が10分の1以下だったため断念した。

 荒河睦社長(24)は「会社の存続に向け、できる限りのことはした。助成金が手厚い宿泊業や飲食業と同じように対策を講じてほしい」と行政支援を求める。

 阿波バス交通(松茂町)では2月中旬から10月にかけて、四国霊場巡りをはじめ約40件の予約が全てキャンセルになった。収入は地元の児童を小学校から児童館に送迎する料金のみ。5月以降、電話が鳴ることはなく、今後の仕事もない。

 国の持続化給付金は車検代と自動車税の支払いに消えた。ハンドルを握って33年になる男性(71)は「お得意さんが離れてしまうだけでなく、オンライン化で移動にバスを使わないのが当たり前になったら廃業するしかない」。

 県バス協会(徳島市)は「県内では無収入に近い事業者が大半を占める。8月中旬までに半数が倒産するかもしれない」との見方を示す。

 旅行会社の需要が回復する見込みはない。徳バス観光サービス(徳島市)は7月までツアーを休止。再開時期は決まっておらず、観光バスを発注できない状態は当面続きそうだ。