同期生は「腕を軍刀で切り落としてほしい」と懇願した

(佐賀市、大渡行臣さん)

 1944年7月、富高海軍航空隊(宮崎県)に入隊。特攻隊になることを前提とした訓練で「貴様らは消耗品だ」と上官から言われ、「海軍精神注入棒」で尻を何度も強打された。耐えきれず、除隊されるために腕を切ってほしいと望んだ同期生。彼は数日後、事故か故意かは不明だが、トロッコにひかれ指4本を切断し、隊を去った。白い三角巾でつった腕とすがすがしい笑顔が忘れられないという。「死にたくない気持ちは皆持っていた。ただ、態度に表すすべがなかった」。

※2019年西日本新聞取材、当時93歳

 終戦から75年。戦争の時代を生きた人たちの肉声を聞く機会は徐々に減り、記憶の風化が加速している。戦後75年企画として、記者がこれまでに取材した戦争体験者の声を紹介する「言葉を刻む」を始める。紙面などに掲載された言葉に改めて着目し、戦争の悲惨さや平和の尊さについて考える。全国の地方紙とも連携する。