農林水産省の交付金事業を担う徳島県阿南市の「新野広域協定運営委員会」の元事務局長(57)=同市=が、業者への工事代金253万8千円を着服していたことが7日、関係者への取材で分かった。発覚後、元事務局長が全額を支払ったため、運営委は刑事告訴をしない。元事務局長は新野土地改良区の理事長も務めていて、6月1日付で理事長を退任した。

 改良区などによると、着服したのは、新野町内で行われた水門ゲートの設置と、ため池補修の2件の工事費。農水省の「多面的機能支払交付金」事業の活動組織としてつくられた町内の木戸環境保全協議会と平川内環境保全協議会がそれぞれ発注した。運営委は両協議会の上部組織に当たり、事務局は改良区が担っている。

 工事は2018年夏ごろに行われた。今年5月、受注した業者が、工事費が支払われていないと改良区側に指摘。元事務局長に事情を聴いたところ、19年3月26日にため池補修費118万8千円、同4月2日に水門ゲート設置工事費135万円を、交付金として入金された各口座から引き出したと認めた。業者に領収書の作成を依頼し、業者が「国の事業なので払ってもらえると思っていた」と渡していたことも分かった。

 元事務局長は取材に対し、「農機具の購入や牛舎の修繕費に使った。大変申し訳ない」と謝罪した。

 運営委の林孝一会長=市議=は「今後は(出入金の記録が残る)振り込みでの支払いを徹底する」と話した。