阿波市は10月から、県外の女性に同市で就農してもらい、起業までをサポートする事業を始める。後継者がいない市内の農家で研修を受けて引き継ぎ、商品開発や販売などの6次産業化までつなげる。地縁のない未経験者でも「農業女子」になれる新たな就農モデルをつくりたい考え。5日開会の市議会9月定例会に提案する補正予算案に、関連予算427万円を計上する。

 事業は、女性の地域おこし協力隊員2人を募り、後継者がいないブドウ農家と養蜂農家各1戸で1~3年、研修を受けてもらう。

 ブドウ農家では、栽培技術とワイン造りを学んだ後で農地を借り受け、将来は市内でワイン店を開いてもらう。養蜂農家では、養蜂の技術を身に付けて引き継ぎ、蜂蜜を使った商品を開発。最終的には販売店を開く。

 対象は、おおむね40歳未満で、任期終了後に市内での定住や開店に意欲的な女性。10月1日から市と移住・交流推進機構のホームページで募集を始める。期限は設けず、申し込みがあれば順次、書類選考や面接を実施し、合格者は早ければ11月から研修に入る。

 事業の今後については、本年度受け入れた研修生が独立するなどの見込みがついた時点で、新たな募集を検討する。

 女性に限定したことについて、市農業振興課は「担い手不足の現状を変えるためには、独自性がないと人が集まらない」と説明。女性農業者と企業が連携しての商品の企画開発を支援する「農業女子プロジェクト」を農林水産省が進めていることや、同市の女性農業者が加工品開発などの6次産業化に積極的なことも理由に挙げた。

 事業を進めるため、市は農業後継者クラブなどでつくるプロジェクトチームを発足させた。研修中や就農後などの段階に応じて相談や助言が受けられる支援体制を整える。