工事で津波避難ビルとして利用できなくなった旧海部病院=牟岐町中村

 新型コロナウイルスの軽症者・無症状者の療養施設として整備される旧海部病院(徳島県牟岐町中村)が、町の津波避難ビルに指定されているにもかかわらず、工事に伴って11月末まで避難場所として利用できないことが分かった。工事終了後も、軽症者・無症状者が入居している間は使えない。町は別の施設への避難を呼び掛けるが、一部住民からは避難先の変更に不安の声が上がっている。

 旧海部病院は鉄筋4階建てで、海抜15・5メートルの4階と屋上が緊急避難場所になっている。町は2014年6月、当時の院長の同意を得て指定し、17年7月に一時避難施設として県と協定を結んだ。

 協定書には「疑義が生じたときは、その都度、双方が協議して定める」と記されており、6月22日付で町と県で新たに協議書を作成。工事期間の6月29日から11月30日までは避難施設としての使用を中止するなどとした。

 近くの本町、中の島両地区の住民約150人の多くが、避難先として病院を想定している。中の島自主防災会の16世帯は4階に保存食などの備蓄品を置いていた。しかし県病院局から「備蓄品を移動してほしい」との要請があり、やむなく6月21日に病院の南約350メートルにある旧牟岐小学校北校舎3階(海抜11メートル)に移した。

 旧牟岐小も指定避難ビルだが、旧海部病院が近い住民も少なくない。中の島自主防災会の木内昌文会長(67)は「使えないと言われたら仕方ないが、周辺の避難所は限られている。小学校へ行くのが難しい場合は病院を使わざるを得ないかもしれない」と困惑する。

 県病院局は「工事が終わってから感染者が入るまでと、収束後は利用できる。それ以外の期間は、別の避難所を利用してほしい」と理解を求めている。

 旧海部病院は6月29日に改修工事が始まった。11月末までに4階に30床、来年3月末までに3階に30床の計60床が整備される。