徳島市の性風俗店に勤めていた20代女性の新型コロナウイルス感染が確認されてから2週間がたった。症状が出る前後の6月17~25日に接客した濃厚接触者30人のうち、20人と連絡が取れないままだ。懸念されたクラスター(感染者集団)発生はないものの、性風俗という業態の特殊性や店名の非公表がネックとなり、疫学調査が進んでいない。

 徳島県によると、女性は発症前後の9日間で計30人に接客。このうち8人がPCR検査を受けていずれも陰性だった。2人は発症せずに健康観察期間を終えた。利用客が名乗り出やすいようにと、県は今回のケースに限り、匿名で検査を受けられるようにしたが、20人の感染の有無は未確認だ。

 県は店側の同意が得られていないとして風俗店の店名を公表しなかった。これが濃厚接触者を早期に把握するのを困難にした可能性がある。また、客の中には県外在住者もいるとみられるが、県は近隣県に情報提供するなど積極的に探すような対策は取っていない。

 飯泉嘉門知事は10日の定例会見で、現行法では自治体が新型コロナの疫学調査で強制的に店名を公表するなどの権限がないと説明。「県内の客なら報道を見て自分かなと思うが、県外ならば店名でも出ないと『気付き』を得られない」と語った。