客待ちのタクシーの車列が途絶えた繁華街=徳島市秋田町

 徳島県内で新型コロナウイルスの感染者が立て続けに出ていることが、タクシー業界にも波紋を広げている。乗客数は回復傾向にあったものの、外出自粛ムードが再燃。さらなる客足減も懸念されており、運転手らは「いつになったら通常に戻るのか」とため息をつく。

 「5月の月給は普段の10分の1に当たる3万円だった。あのころには戻りたくない」。タクシー会社に勤める50代の男性運転手は苦笑いを浮かべる。

 6月は全国で移動自粛要請が解かれて高速バスやJRの乗客がタクシーを利用し始めたほか、繁華街や飲食店に出向く客も増えた。6月26日に徳島市の性風俗店で勤めていた県内6人目となる感染者が判明するまでは、1日当たりの売り上げはコロナ禍前の6~7割まで回復していた。26日以降は5割ほどに減り、その後も戻っていない。「感染者が出ていなかったので、客が過剰に恐れているのかもしれない。今後感染者が増えればどうなるのか。不安しかない」

 乗客の増加に伴い、徳島駅前などでは自主休業していたタクシーが少しずつ営業を再開し始めていた。個人タクシーを33年間営む男性(69)は「1日当たりの売り上げが5、6千円くらいまで回復していたけど、再び半分ほどに逆戻りした。このままでは少ない客を奪い合う状態になってしまう」と表情を曇らせる。

 徳島市秋田町で客待ちをしていた60代男性は、夕方から朝までの勤務を朝から午後9時ごろまでに切り替えた。新たな感染者が出て以降、1日2万円ほどあった売り上げが金、土曜でも9千円ほどまで落ち込んだためだ。「夜の街は急速に客が減った。感染より風評被害の方が恐ろしい。感染者が相次いで状況が悪化するようなら、廃業も考えないといけない」と肩を落とす。

 徳島市のタクシー会社役員は「夜間の客足回復は年が明けても難しいだろう」と指摘する。従業員の雇用を維持するため、国の雇用調整助成金の特例期間(9月末まで)の延長を要望した上で「徳島全体の経済が回るような施策を打ち出さないと解決しない。行政には、コロナ禍で打撃を受けている小売店や事業所を手厚くカバーできる仕組みを構築してほしい」と注文した。