ホテルで働いていた男性への解雇通知書=徳島市(画像を一部処理しています)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、徳島県内でも雇用情勢の悪化が鮮明になっている。徳島労働局によると、5月の雇用保険の資格喪失者のうち事業主都合の離職者は309人で、前年同月の146人の倍以上。求人も減る中、突然職を失った人たちは新たな仕事をなかなか見つけられない。感染再拡大の懸念もあり、出口の見えない状況に頭を抱えている。

 「覚悟はしていたけど、文書だけで一方的に切られるなんて」。5月中旬、県内のホテルでパート従業員として働いていた徳島市の60代男性の自宅に、解雇通知書が届いた。

 宿泊客の減少で3月の売り上げが激減し、従業員に不安が広がった。4月中旬に休業を指示され、自宅にこもった。勤めた20年でこれほど長く休んだことはない。独り身の寂しさもあり、朝から落ち込んだ。

 通知された通り、5月末で失業。月15万円ほどの収入を失った。緊急小口資金20万円を借り、ハローワークに通っている。「この年でできる仕事はほとんどない。コロナの波にのまれた」と肩を落とした。

 徳島市の30代女性は4月下旬、勤め先の飲食店で突然解雇を告げられた。「コロナで客が減ってきつい。ごめんやけど辞めてくれんか」。仕事はこの日が最後となり、途方に暮れた。

 中学生と小学生の子ども2人を育てる母子家庭。融通の利く働き方をさせてくれた店に恨みはない。貯金はなく、1人10万円の特別定額給付金で生活をつなぐ。「早く働き口を見つけないと」と求人誌をめくっても、育児と両立できそうな仕事は少ない。

 タクシー運転手だった徳島市の60代男性も4月下旬に解雇を言い渡された。「明日からどうしよう」。職を求めて同業者を複数訪ねたものの、「コロナでつぶれそうなのに雇えんわ」と断られた。

 男性は「突然無職になり、足が宙に浮いた感じ。生活保護の申請も考えた」。6月に入って運転手の求人が出始め、再就職が決まった。だが、県内で感染者の確認が相次ぎ、「仕事がなくならないか心配だ」と声を落とした。

 徳島労働局によると、5月の有効求人数は1万3056人と前年同月に比べ23%減少。宿泊や飲食、製造など幅広い業種で採用を控える動きがある。

 厚生労働省が把握している新型コロナ関連の解雇や雇い止めは、見込みを含めて3日時点で3万2348人(徳島は44人)。これはハローワークに相談があった事業所からの聞き取りで判明した人数で、実際にはさらに多いとみられる。