徳島県は、県内24市町村が運営している水道事業の広域化を目指す「県水道ビジョン」の策定作業に近く着手する。経営基盤を強化し、人口減少による収益悪化への対応や、老朽化が進む施設の整備を進めるのが目的。2018年度末までの策定を目指す。
県内では市町村の財政難などを背景に、15年度末の基幹管路の耐震化率が26・7%と全国平均(37・2%)を大きく下回るなど、施設の更新が課題となっている。対策経費がかさむほか、人口減少も進んでいるため、将来的な水道料金の値上げが懸念されている。
県によると、広域化は人件費の抑制や施設管理の一元化による経費節減効果が見込めるほか、国も広域化に伴う設備投資費用の3分の1を助成する交付金制度を創設し、取り組みを後押ししている。
ビジョンでは「安全で災害に強く、持続可能な水道」を目標に掲げる予定。策定に先立ち、県は各市町村の水道事業の収支や水道料金の増減の見通しを試算する。
現時点では▽全市町村で水道料金を一本化する事業統合▽圏域ごとの統合▽経営主体のみを統合して各市町村の水道料金は一本化しない形態―など、複数の広域化案が想定されている。17年3月に県と市町村で発足させた「水道事業あり方検討会」で、合意形成できる方向性を探る。
県内では鳴門市と北島町が5月に浄水場を共同整備する一部広域化に合意している。より広域での連携について鳴門市は「水道料金の引き上げにつながらないか心配。利用者に利益があると判断できれば進めたい」とする。
県安全衛生課によると、広域化によって周辺市町村と水道管を接続すれば、地震災害などで断水した際に水を融通してもらいやすい利点もある。同課は「経営基盤強化や災害対策は大きな課題。県内全域でメリットが感じられるビジョンを示したい」としている。