人吉市で泥かきをする井上さん=熊本県人吉市(本人提供)

 徳島県牟岐町河内のリバーガイド井上貴彦さん(39)が6~8日の3日間、豪雨で被災した熊本県に入り、災害ボランティアとして活動した。土砂が流れ込んだ店で泥かきをしたり、停電した世帯にカセットこんろのボンベを届けたりと生活支援に奔走。今後も支援を続けるとともに、経験を牟岐町の防災に生かすつもりだ。

 井上さんはスタンド・アップ・パドルボードやカヌーなどの体験事業会社を運営。三好市でガイドをしていた頃、熊本県人吉市のラフティング体験会社社長らと親しくなっていた。豪雨被害の報道を見て心配になり、連絡。窮状を聞き、軽トラックに支援物資を積み込んで現地に向かった。

 社長の知人が経営する球磨川北岸の居酒屋は、1階の天井部分まで水に漬かり、店舗の奥まで土砂が流れ込んでいた。井上さんは手押し車で泥を運び出す作業に加わった。

 7日には別の知人から連絡があり、西隣の球磨村へ。国道は寸断され、迂回路の細い林道を約2時間走った。まだ救援の手が入っていなかった一勝地田代地区で区長と一緒に14世帯を回り、持ってきたレトルト食品、カップ麺、大人用オムツなどの物資を届けた。

 住民から「オール電化にしており、停電でお湯が沸かせない。救援物資のご飯が食べられない」と聞き、住宅や避難所に、知人から預かったカセットこんろのボンベを提供した。近くの一勝地中屋地区では復旧し始めた水道水が濁っていたので、ペットボトルの水を配った。

 井上さんは「自宅の建物が被害を受けていなくても、こうした困り事が起こるのだと分かった」と言う。

 東日本大震災でもボランティア活動に従事した井上さんは、今回を含めた経験を、南海トラフ地震の被害が想定される牟岐町に還元したいと考えている。「カセットこんろやボンベ、飲料水を用意することなどは、すぐにできる。なるべく多くの人に知ってもらい、命を守ってほしい」。