美波町を舞台にした映画「ポンコツ(仮称)」を製作する同町阿部出身の映画監督明石知幸さん(60)=東京都=と、同町赤松出身で撮影監督を務める映像作家赤川修也さん(71)=同=ら製作陣が24日、現地入りし、撮影に備えるロケハンを始めた。26日まで、町内を中心に候補地を下見する。撮影は5月下旬に始まり、6月中旬ごろまで行われる予定。
撮影、照明、美術などの主要スタッフ10人が参加。町職員の案内で、日和佐駅や四国霊場23番札所・薬王寺、同寺の門前町の桜町商店街などを下見した。製作陣は各シーンの撮影方法のほか、ロケ時のセット設営や小道具などの想定についても入念に確認していた。
25、26の両日は、ウミガメ産卵地の大浜海岸、秋祭りに豪快な太鼓屋台(ちょうさ)が繰り出す日和佐八幡神社、県立農林水産総合技術支援センター水産研究課美波庁舎などを訪れる。
初日のロケハンを終えた明石さんは「脚本の中では活字だったものが、立体的に見えてきた。緊張感も高まっており、早く撮影に掛かりたい」と話した。赤川さんは「製作チームもでき、『映画が撮れる』という手応えを感じている。天候などさまざまな状況を想定しながら、準備を進めたい」と語った。
「ポンコツ」の主人公は、美波町のIT会社サイファー・テックの吉田基晴社長(46)がモデル。人材難にあえぐIT会社の社長が古里に拠点を移し、地域が抱える課題に直面しながらも町おこしに奮闘するストーリーで、明石さんが脚本を書き下ろした。
明石さんの妻で映画プロデューサーの天野真弓さん(59)が社長を務める映像制作会社エリセカンパニーなどが製作し、来春の公開を目指している。近く出演者を発表する予定。