地域に根差した起業や人材育成を支援する「まちしごとファクトリー」(徳島大、徳島県信用保証協会、徳島新聞社主催)のキックオフセミナーが、オンラインで行われた。持ち帰りや配達サービスを行う飲食店を紹介するサイト「お持ち帰りデリ・とくしま」を立ち上げたQUAREAL(クオリアル)代表の千葉大輔さんら県内起業家4人が、社会的、あるいは個人的な課題に向き合う中で、起業のヒントを見いだしていった経緯などについて話した。

登壇者
 ペット介護ステーションジュエル代表・杉井ひとみさん
 QUAREAL代表・千葉大輔さん
 合同会社ハビリテ代表・太田恵理子さん
 農業法人アイ・エス・フーズ徳島株式会社代表取締役・酒井貴弘さん

司会
 徳島大人と地域共創センターコーディネーター・松本卓也さん

ペットしつけに活路 杉井さん

 ペットホテルで預かってもらえなかった犬との出合いが起業につながった。その犬は15歳と高齢で、寝たきり状態だった。飼い主の家庭の事情で預けなければいけなかったが、県内に10歳を超えたペットを受け入れる施設はなく、犬の世話に慣れていた私に託された。

杉井ひとみさん

 ペットを飼うと少なからず介護を経験する。一方で気軽に預けられる施設はない。飼い主が安心して利用できる場所が必要だと考えてペットの介護施設を開いた。幅広い年齢の犬の世話を支援した経験を生かし、飼い主の不安解消につながるよう取り組んでいる。

 新型コロナウイルスの影響で、連休中に入っていた予約は全てキャンセルになった。経営状態は厳しくなったが、「社会的な信用を失ったからではない」と気持ちを切り替え、次の手を考えた。起業セミナーで立てた将来設計をヒントに、数年先に実行する予定だったしつけ教室などの事業を開始。自粛生活から自宅で過ごす時間が増えたため、犬のしつけに悩む人の利用が増えている。

 不安定な社会情勢だが、一つのことに限定せず、状況に合わせて必要とされるサービスを追求していけば道は開けると感じている。

すぎい・ひとみ 1998年に盲導犬のパピーウォーカー(飼育ボランティア)をした後、子犬のしつけから老後の世話までを支える仕事を20年間続けた。高齢犬を預かったことを機にペットの介護を任せられる施設の必要性を痛感。2019年、要介護の犬猫を預かる県内初のペット用介護施設「ペット介護ステーション ジュエル」を徳島市に開業した。とくしま創生アワード2019グランプリ。広島県出身。61歳。