飼育されている食用コオロギ=鳴門市大麻町の「板東の丘」

 徳島県鳴門市大麻町板東の障害者支援施設「板東の丘」が、世界の食糧難を救う高タンパク食材として注目を集める食用コオロギの生産に乗り出した。徳島大発ベンチャーのグリラス(徳島市)からノウハウを学んで飼育。着実に生産量を伸ばしていて、施設利用者の工賃アップにつながる取り組みとして期待している。

 板東の丘が2月から育てているのは大型のフタホシコオロギ。グリラスから提供を受けた卵を飼育室でふ化させ、コンテナの中で約1カ月かけて3センチほどに育てる。タンパク質が最も豊富になる時期に冷凍処理し、グリラスに納品している。施設利用者はコンテナの清掃、飼育資材の準備といった作業を担っている。

 生産開始に先立ち、職員5人がグリラスで研修を受け、飼育室の気温を約30度に保つため断熱材を張るなどの環境を整えた。湿度が保てずに卵が乾燥したり、水がこぼれてコオロギが溺れたりと失敗もあったが、2月に1・2キロだった生産量は6月には39キロに増えた。今は約8万匹を飼育しており、7月は60キロの生産を目指している。

 コオロギ飼育はNPO法人とくしま障がい者就労支援協議会が提案した。観賞用スズムシの繁殖で実績のある板東の丘を皮切りに他の就労支援施設への拡大を目指していて、7月2日には県内4施設の職員が飼育現場を視察に訪れた。

 コオロギの飼育を担当している村上立樹支援員(35)は「将来性のある事業に携われてやりがいがある。利用者の工賃に還元できるよう頑張りたい」と話している。