「海水浴場開設中止」の張り紙が掲示された海岸=松茂町の月見ケ丘海水浴場

 徳島県内で6カ所ある全ての海水浴場が、新型コロナウイルス対策で今夏の開設を見送り、周辺の観光産業に打撃を与えている。開設しない状態でも訪れる人は一定数いるとみられ、専門家は水難事故に遭わないよう注意を呼び掛けている。

 小松海水浴場ウィズアズマ建設(徳島市川内町)には昨年、約1万6300人が来場した。例年海開きと同時に海の家の営業が始まるが、今年は早々に中止が決まり設営できなくなった。経営する女性は「海は屋外だから大丈夫だろうと思っていたので残念。それでも実際に営業するとなれば感染対策が大変になる。来年無事に開かれることを期待している」と話す。

 北の脇海水浴場(阿南市中林町)周辺の民宿は4月以来、臨時休業を続けている。例年は予約が年明けから入り始めるものの、今年は宿泊客が見込めず、感染リスクも避けられないためだ。市内の六つの民宿が加盟する市民宿組合の組合員は「休業しても固定費はかかり、小規模事業所には大ダメージだ」と言う。

 子どものレクリエーションや企業の福利厚生などで人気を集める同所の観光地引き網も休止している。昨年は50~300人の団体客が30組ほど訪れた。運営する中林漁業組合事務局の松本佳代さん(54)は「大人数の密集が避けられないため、断念した。組合収入の約15%を占めており大きな痛手」と嘆く。

 一方、海水浴場が開設されない場合でも海岸には自由に立ち入ることができる。6月末の週末も家族連れらが水遊びを楽しむ姿が見られた。北の脇海水浴場に子ども2人と訪れていた阿南市の女性は「海の家がないと子どもは残念がるけど、泳ぎには来るつもり」と話す。

 海水浴客の利用も多い月見ケ丘海浜公園(松茂町豊岡)では、有料のシャワー室とロッカーは通常通り運営している。6月末時点で8月前半までの土曜とお盆期間中のコテージは予約でいっぱいになっており、海水浴をする人もいるとみられる。公園の管理事務所は「感染対策を徹底しながら運営する」としている。

 海水浴場が開かれないことで遊泳区域を示すブイは設置されない。監視員や救護所も置かれず、安全対策は皆無となる。海岸での遊泳には水難事故や熱中症などの危険がつきまとうため、徳島ライフセービングクラブの源純夏代表は「人の目がなくなる分、事故を防ぎにくくなる。慎重な行動を心掛けてほしい」と警鐘を鳴らしている。