体に標識を取り付けたハモ=阿南市の椿泊漁港(県提供)

 徳島県内で2019年に水揚げされたハモは319トンにとどまり、前年から114トン減った。県によると、01年以降で最も少ない。関西市場で人気が高いだけに、県は大幅な落ち込みを懸念。原因を探るため、ハモに標識を付けて沿海に放流し、生息域などを調査する事業を始めた。

 県水産振興課によると、00年に230トンだったハモの年間漁獲量は01年に599トンに跳ね上がった。以降は年によってばらつきがあるものの、11年までは500トン前後、12年以降は400トン前後となっている。

 ハモの生態に詳しい岡﨑孝博課長補佐は、漁獲量が増えたのは近海での生息が定着してきたのが要因とみる。一方、昨年の減少の理由については「不明な点が多く、生息数自体が減った可能性も否定できない」とする。

 放流事業はハモのデータを集めて対策に役立てるのが目的で、ハモのはえ縄漁が盛んな椿泊漁協(阿南市)と牟岐東漁協(牟岐町)に委託する。両漁協は組合員から計約3・2トンを買い取り、個体識別番号などを記した直径1・2センチの標識をハモに取り付けて海に返す。

 放流されたハモを漁師が再び捕獲すると、漁獲日や漁獲場所などを県に報告。県はハモの行動範囲や成長具合、漁獲割合などを分析する。6月30日と今月14日に計約1・2トンを阿南市沖で放流した。残り2トンも近く同市沖と牟岐町沖に放流する予定。

 県は関連予算として750万円を計上しており、漁協の買い取り費を全額負担する。調査は10年以来10年ぶり。同年の調査では、海水温が上昇すると県沿岸にいたハモが大阪湾や播磨灘へ北上する傾向がみられたという。

 事業は、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい経営を強いられている漁業者を支援する狙いもある。京阪神や関東市場で人気のマダイやイセエビ、ハモなどは飲食店や料亭などで需要が激減し、取引価格が下落。休漁を余儀なくされた漁師も多い。

 岡﨑課長補佐は「今回の調査を基礎資料にし、資源管理の具体策を検討したい」と話している。