新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、都道府県境をまたぐ移動自粛要請が全面解除されて19日で1カ月を迎えた。長い休業を経て本格的に営業を再開した徳島県内の高速バスや観光施設などは、感染対策を徹底しながら客足回復を図ろうと苦心している。「いつになれば日常に戻るのか」。コロナ禍による苦境は続き、出口の見えない現状に関係者からため息が漏れた。

 徳島バスは、徳島発着の高速バスの運行を6月から徐々に再開。現在は関西空港線など一部を除いた大半の路線を運行している。半減させていた定員を7月から本来の38人に戻したものの、1~7日までの1便当たりの平均乗車人数は5・9人と低迷。乗車率は採算ラインの約5割を大きく下回っている。

 林直人企画課長は「今年いっぱいは辛抱の年になるだろう。感染対策の徹底や独自の割引キャンペーンに力を入れ、乗客が利用しやすい環境をつくっていく」と話す。

 JR四国によると、徳島県境をまたぐ特急列車の1日当たりの平均乗車人数(6月19日~7月16日)は、高徳線「うずしお」(徳島―高松間)が1273人(5月は630人)、土讃線「南風」(岡山―高知間)が1060人(454人)。コロナ禍が直撃した5月と比べ、2倍以上に回復した。しかし前年7月との比較では4~6割にとどまっている。

 徳島市の徳島グランドホテル偕楽園は6月中旬に営業を再開した。宿泊料を割り引く県の「とくしま応援割」事業などに期待を寄せていたが、利用客は50人ほどで19日以降の客室稼働率は15%程度。今月22日から始まる国の観光支援事業「Go To トラベル」について住友武秀社長(84)は「経済を回す対策を取っても窮状は改善されない。行政には給付型の助成金拡充を望む」と訴えた。

 徳島県内観光地も客足回復への道のりは遠い。6月19日に営業を再開した鳴門市の観光遊歩道・渦の道は、今月17日までの来場者数が1万1065人と前年同期の3割ほど。三好市西祖谷山村の「祖谷のかずら橋」は6月1日の営業再開以降、客足が例年の4分の1程度と低迷している。市まるごと三好観光戦略課は「『Go To トラベル』で巻き返せればありがたい。今は感染対策に力を入れるだけだ」としている。