注文減で出荷できず、廃棄処分される葉わさび=上勝町生実

 徳島県上勝町特産で日本料理のつまもの「彩(いろどり)」の一つ、葉わさびへの注文が新型コロナウイルスの影響で激減している。結婚式やホテルのビュッフェ向けの大口需要が減り、農家は値崩れにあえぐ。生産販売を支援する町の第三セクター・いろどりは家庭向けの小分け販売を始め、新たな需要を掘り起こそうとしている。

 いろどりによると、葉わさびは3~5月が出荷の最盛期。今年は外出自粛の影響でホテルなどからの注文が減少し、4月は昨年同期の27%、5月は15%に落ち込んだ。

 いろどりは4月中旬~5月下旬、出荷を1日当たり1農家1箱(レギュラーサイズ200枚)に制限して値崩れを抑えようとしたものの、単価が例年の半分以下の日もあった。

 町内では12戸が生産している。栽培歴約30年の多田和幸さん(70)=上勝町生実=のハウス約12アールでは、出荷の時期を逃して穴が開いたり変色したりしたものを廃棄処分した。今年は新たにパート従業員1人を雇う予定だったが取りやめた。「第2波、第3波の懸念があり、需要が戻るとは思えない。売れるかどうか分からず、希望を見いだせない」と肩を落とす。

 これを受け、いろどりは家庭向けに商機を見いだそうと、4月下旬から大阪府のスーパー約30店の産直売り場で小袋(約15枚)の販売を始めた。担当者は「農家がやりがいを持って栽培できるよう、家庭での需要喚起や商品開発を進める」と言う。

 今年の出荷シーズンはほぼ終了。JA東とくしま葉わさび部会の田村晋部会長(57)=徳島市西新浜町2=は「彩で唯一食べられる商品でもあり、家庭向けの販路開拓の必要性を痛感した。来年に向けてしっかり準備したい」としている。