2018年4月に英ロンドンで開かれる障害者マラソンの国際大会「ワールドパラアスレチックスマラソンワールドカップ」に向けた8月末の選考会(札幌市)で、徳島県三好市池田町シマの髙井俊治さん(30)が男子の部で優勝した。軽度の視覚障害がある髙井さんは20年開催の東京パラリンピックの県強化選手。東京パラに向けて大きな弾みとなり、さらなる意欲を燃やしている。
選考会は北海道マラソンと一緒に行われ、重度・中度・軽度を合わせた視覚障害者の男子の部には国内の有力選手ら8人(軽度は1人)が出場。髙井さんは故障から復帰したばかりだったが、軽度の視覚障害者部門で日本歴代4位となる2時間39分19秒で優勝した。
ワールドカップの軽度視覚障害者部門には3人が出場でき、今回の選考会と12月の防府読売マラソン(山口県)の結果を基に総合的に判断される。髙井さんは、日本歴代2位の記録(2時間34分1秒)も持っており、有力候補になっている。
池田中学校2年の時から徳島駅伝に毎年出場し、19歳でフルマラソンを始めた。中学時代に野球ボールが左目を直撃した影響で低下した視力がここ数年で悪化し、障害者手帳を取得。昨年4月に日本ブラインドマラソン協会に登録し、間もなく協会の強化選手に選ばれた。
今年3月には、足の甲の骨にひびが入る故障をした。約3カ月後に復帰し、空白期間を取り戻そうと、走る距離を月300キロ弱から400~500キロに増やした。練習は週5、6日、主に町内の山間地を1人で走っており、協会の監督から電話やメールで助言も受けている。
大会や練習場所が充実し、サポート企業も多い東京に進出するよう勧める声もあるが、地元でサポート企業を探しながら世界を目指す。東京パラの実施種目はまだ決まっておらず、当面の目標は18年のマラソンワールドカップの出場。「ずっと目標だった2時間半を切り、日の丸を付けて世界に行きたい」と意気込んでいる。