徳島県庁

 徳島県外で新型コロナウイルスの陽性が確認された人が感染判明前に徳島を訪れていたケースが相次いでいる。県には感染を確認した自治体から行動歴などの情報が寄せられているものの、県民に注意喚起する必要があると判断した場合を除いて公表しない方針だ。

 都道府県などは感染症法に基づき、感染拡大防止に必要な情報を関係自治体に提供している。兵庫県は10日、前日に感染が確認された県内在住の20代男性が徳島市内で勤務していたと徳島県に伝えていた。だが、県はこうした事実関係を明らかにしていない。14、16日に香川県で感染が確認され、仕事で徳島を訪れていた40代と50代の男性の事例も公表しなかった。

 徳島県健康づくり課は「情報提供があれば、保健所が調査する。県民に広く周知する必要がある場合は公表する」とし、公表の基準については「ケース・バイ・ケース」と説明する。感染拡大の恐れがないのに公表すれば風評被害が起こる、という考えだ。飯泉嘉門知事は17日の定例会見で「不要な心配をかけるのは意味がない」と述べた。

 他の都道府県で公表されていても、多くは県民に情報がもたらされないことになる。とはいえ、インターネット上では不確実な情報が拡散し、かえって風評被害が広がっている。今回、ネット上では兵庫県在住の男性の勤務先に関するうわさが飛び交った。

 感染症の社会的影響に詳しい関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「うわさを制御するには情報の曖昧さを減らしていくことが決め手になる。行政は情報開示を積極的に進めるべきだ」と指摘する。