歌舞伎の大名跡・中村芝翫(しかん)の八代目襲名披露を兼ねた公演「松竹大歌舞伎」(徳島県文化振興財団、四国放送、徳島新聞社主催)が13日、徳島市のあわぎんホールであった。昼夜2回の公演に約1600人のファンが訪れ、一流の歌舞伎役者の熱演を楽しんだ。
演目は、平家物語の敦盛の最期を題材にした「熊谷陣屋(くまがいじんや)」。合戦から帰陣した熊谷直実が、平家の若武者・敦盛を討ったと妻らに語り、源義経の前で首実検に臨む。実は、敦盛を助けたい義経の意をくみ、身代わりに息子小次郎の首をはねて差し出したという物語。
主君への忠義のため、わが子を犠牲にする直実を芝翫が情感たっぷりに演じ、観客席から大きな拍手が湧き起こった。
かみしもを身に付けた歌舞伎役者が舞台に並び、芝翫と四代目中村橋之助、三代目中村福之助が襲名を披露する口上もあり、屋号の「成駒屋!」という掛け声が飛んだ。
初めて歌舞伎を楽しんだ阿波市土成町吉田、農業組橋敬子さん(75)は「迫力ある演技に感動しました。また機会があれば見に来たい」と喜んでいた。