性暴力被害者の相談窓口として、徳島県が昨年7月に性暴力被害者支援センター「よりそいの樹(き)とくしま」を県内3カ所に開設してから1年が経過した。今年春ごろから相談件数が増加し、次第に定着してきた。一方、深刻な被害に耳を傾ける相談員の負担軽減や、関係機関との連携強化といった課題もあり、県はセンターの機能強化を図るため、県議会9月定例会に提案する2017年度一般会計補正予算案に523万円を盛り込んだ。
相談件数は8月末までで122件。16年度は7月の開設から9カ月間で59件だったのに対し、17年度は5カ月間で63件と既に前年度を上回っている。県男女参画・人権課は「昨年末から啓発に力を入れたこともあり、センターの認知度が徐々に高まってきている」とみている。
相談件数の増加に伴い、相談員の心理的負担も増えている。被害体験を聞く中で、相談員が心身に不調を来す「2次受傷」のケースもあり、「相談で聞いた話が夢に出てくる」といった声もあるという。
このほか、迅速で的確な被害者支援には、受診環境の整備や、医療機関とセンターとの連携強化も必要になっている。
こうした状況を踏まえ、県は本年度創設された国の「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」を活用し、センターの機能を強化する。相談員に2次受傷の予備知識や予防策を習得してもらう研修を実施し、2次受傷から回復するための臨床心理士によるカウンセリングの仕組みを整える。県内全ての産婦人科医療機関の医師と看護師を対象に、被害者支援についての研修も行う。
同課は「性暴力被害者が速やかに必要な支援を受けられるよう、態勢を強化したい」としている。