王余魚谷川を「かれいだにがわ」と読める人はどれだけいるだろうか。難読地名クイズに出題されそうなこの川は、徳島県海陽町を流れる海部川の支流で、中流には県内有数の名瀑「轟の滝」がある。

 梅雨の合間を縫って王余魚谷川を訪ねた。多数の滝があり、別名「轟九十九滝」と呼ばれるこの川を代表するのが轟の滝。河口から約30キロ、四国山地南部の奥深い山中で岩を裂くように落ち、神秘的な光景が広がる。

【二重の滝】二つの滝が並んで落ちる見事な景観。すぐそばまで行くことができ、火照った体に水しぶきが心地よい。

 今回は轟の滝には行かず、その上流部にある複数の滝を目指した。遊歩道が整備され、最上流の滝まで片道1・5キロほどの滝巡りだ。

 急な階段を上り詰めると本滝の上にある「二重の滝」が現れ、さらに谷に沿った道を歩めば次々と美しい滝が姿を見せる。最も奥にある「鍋割りの滝」は少し分かりにくいが、山歩きに慣れた人なら1時間程度の行程だ。

 一つ一つの滝で歩みを止め、のんびり水際の岩の上で流れ落ちる滝の音を聞きながら、自然のミストを全身に浴びた。

 ※王余魚谷川の漢字表記は海陽町観光協会ホームページによる。

【小さな滝】名前のついた大きな滝の他にも小さな滝が無数にある。それぞれが個性的だ。

 

【染まる】滝つぼの水に周囲の木々の緑が反射し、複雑な模様を作り出す。

 

【トンボ】滝を眺めながら休息していると、目の前の木にトンボが止まった。道中、ほかにもカエルやさまざまな生き物が現れた。

 

【船滝】岩盤の間に落ち、溝のようになった谷が舟を思わせる。青く染まった水はどのくらいの深さがあるのか分からない。

 

【水しぶき】流れ落ちる水は岩に当たって砕ける。しぶきが自在に変化し、見飽きることはない

 

【積み石】最後の滝「鍋割りの滝」を越えると河原に積み石があった。不動像もあり、ここが神域としてあがめられた場所だと分かる。

 

【終点】滝巡りの終点は大きな岩が真っ二つに割れた場所。これより先に滝は無いとの看板がある。

 

【鍋割りの滝】木々の隙間からのぞき見た。滝巡りの最後の滝で、聞こえるのは水の音だけの深山にある。