徳島市の阿波踊りの新たな主催者となる実行委員会の諮問機関「徳島市阿波おどり運営協議会」が開いた25日の初会合で、市が示した阿波踊りの予算案に、昨夏までの阿波踊りで生じた累積赤字の返済に充てる「借入金返済支出」2千万円が計上された。昨年までの主催者の一つである市観光協会の破産が認められると想定し、残った負債を解消するため毎年の阿波踊りの収益から捻出して市税投入を回避する方針だ。

 予算案によると、返済支出の財源は、有料演舞場や選抜阿波おどりの入場料収入などを充てる。予算総額2億9500万円には、県や市からの補助金約2600万円が含まれるが、補助金は支出名目が無料演舞場やシャトルバス運行などに限られており、負債解消には用いない。

 市の吉岡健次経済部長が初会合後に取材に応じ、2千万円とした理由については「収入と支出の全体のバランスから額を見込んだ」と説明した。負債解消の具体的な計画は現時点で未定としながらも「市民の税金は投入しない」と明言した。

 市観光協会は累積赤字4億円余りを抱えており、市は3月、協会の債権者として破産手続きの開始を徳島地裁に申し立て、地裁の開始決定を受けて破産管財人が債権の回収を進めている。保有資産などと相殺した後に残る負債は、市の債務になる。額は確定していない。

 このほか、市は運営協の会議で、負債解消とは別に、桟敷席の改修や悪天候によるチケットの払い戻しに備え、年1500万円程度の余剰金を確保するとした。方法としては、情報発信強化などでチケット販売率を高め、契約見直しなどで支出を抑制するとした。