大雨で水害の恐れがある高齢者施設や病院などの「要配慮者利用施設」のうち、利用者の避難確保計画を作成済みなのは徳島県内で77・9%(1月1日時点)だったことが国土交通省のまとめで分かった。前回調査(昨年3月末時点)より19・9ポイント上昇し、全国平均の45%を大きく上回った。

 避難確保計画は、高齢者や障害者、子どもら「災害弱者」の円滑な避難を目的に、市町村が指定する浸水想定区域内の施設に作成が義務付けられている。

 県内では1630施設が対象で、うち1270施設が作成済み。阿波、石井、海陽、勝浦の4市町が作成率100%で、松茂町の32・7%が最低だった=表参照。町危機管理課は「施設の事業者向け説明会を開き、早期の計画づくりを促したい」としている。

 都道府県別では岩手が81・8%で最も高く、熊本が最低の5・4%。徳島の作成率は全国で4番目に高かった。国交省は2021年度末までに作成率を100%にする目標を掲げる。

 一方、計画を作っても、高齢者らが短時間で避難を終えるのは難しく、各施設はいかに命を守るか頭を悩ませている。4日、豪雨に見舞われた熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」は避難計画を作っていたにもかかわらず、急激に強まる雨に避難が間に合わず、入所者14人が犠牲になった。

 阿南市羽ノ浦町の那賀川沿いに立つ特別養護老人ホーム「コスモスの里」は、併設する視覚障害者向け高齢者施設と合わせて90人が入所する。17年7月に避難場所や移動手段などを定めた避難計画を作成し、毎年2回、避難訓練を行う。

 2・5キロ離れた岩脇小学校への避難を想定しているものの、入所者の4分の3以上が寝たきりや車いすが必要な状態で、避難には時間がかかる。川久保博施設長は「訓練を通じて常に避難計画を見直し、最善の方法を考えていきたい」と話した。

 《避難確保計画》 洪水や津波などの浸水想定区域に立地する社会福祉施設、学校、病院などの所有者、管理者が建物内外の安全な場所、避難開始のタイミングなどを定めた計画。避難誘導に必要な資機材の配備、施設利用者の緊急連絡先なども記載する。計画策定に加え、避難訓練の実施も義務付けられている。計画がない施設には市区町村長が対応を指示し、従わない場合は施設名を公表できる。水害のほか、土砂災害警戒区域にある施設も計画策定が義務付けられている。