2018年10月に徳島市の自宅アパートで元妻を殺したとして、殺人罪に問われた無職の男(58)の裁判員裁判の鑑定人尋問が28日、徳島地裁であった。精神鑑定を担当した医師は「被告は重症のうつ病だった」と述べ、うつ病が犯行に影響したとの見解を示した。

 今年3~6月に12回にわたって被告と面接した聖マリアンナ医科大(川崎市)の安藤久美子医師が出廷。鑑定の結果、多額の金を元妻にだまし取られたことを恨んで犯行直前に自宅にこもりきりとなり、うつ病が極度に悪化したと判断したことを明らかにした。

 犯行への影響については「論理的思考が停止し、だまされたことばかり考えていた。たがが外れやすくなり、自宅を訪れた元妻が喜んでいるように見えたことで秘めていたエネルギーが爆発し、興奮の中で犯行に至った」との見方を示した。

 一方、「幻覚や妄想を伴う精神病症状はなかった」と述べた。弁護側は公判で「事件前に元妻が『死ね』と被告の頭を揺さぶる幻覚妄想を見た可能性がある」などと主張していた。

 起訴状によると、自宅で元妻=当時(60)=の頭や顔などをきりで多数回突き刺し、両手で首を絞めた上、馬乗りになるなどして窒息死させたとしている。