「オアシス」と聞けば、広大な砂漠などにポツンとあり、干からびかけた遭難者がたどりつく水源地。はたまた一帯には街があり、にぎやかな雰囲気―。そんな場所をイメージします。海外の話ですよね? いやいや、ありますよ。徳島県内にも市民ランナーのオアシスが。
7月12日、新型コロナウイルスの影響でストップしていた徳島走RUN会主催の「大坂峠ラン」が3カ月ぶりに再開されました。市民ランナーが月1回集う老舗の練習会。誰もが参加しやすいアットホームな雰囲気に加え、夏場は素敵な「特典」があるのです。
コースは板野町の歴史文化公園駐車場を出発。阿讃山脈の大坂峠を越えて香川県東かがわ市引田の国道沿いにあるコンビニ跡地で折り返す約30キロ、もしくは大坂峠園地で折り返す約20キロの2パターンが主な練習内容です。
スタートは涼しい時間帯の午前7時半ごろで、コースも木陰が多く走りやすいのが特徴です。とはいえ、夏をなめてはいけません。暑いものは暑いんです。すぐに体温が上がり、汗も止まりません。峠最頂部は標高約200メートル。往路は上り坂が続きます。
今回は20キロに挑戦。1キロ6~7分ペースで目標は完走です。3~4キロ地点で大半のランナーに追い抜かれていきました。一緒に走っていた友人は「ソーシャルディスタンス(社会的距離)というより、置いてけぼりですね」と苦笑いです。いいんです。あと数キロ耐えれば、復活できますから。
峠最頂部に近づくと、にぎやかな声が山中に響いています。体も心も一番追い込まれた約8キロ地点の上り坂最終盤。主催者のありがたい配慮で給水所(エイド)が設けられているのです。普段は人影のない山中でスポーツドリンク、炭酸飲料、掛け水などなど。砂漠ではないですが、まさにオアシスです。
ランナーの皆さん、足を止めて一休み。体も心もリフレッシュし、7キロ先のコンビニ跡地へ出発です。私は2キロ先の大坂峠園地で折り返し、再び吸い込まれるようにオアシスへ。ここを目指して足を動かしていると言っても過言ではありません。約2時間20分ほど掛かりましたが、この「特典」のおかげでサボりがちな夏場でも長距離の練習に取り組めています。
2012年3月に始まった大坂峠ランは、8月で節目の開催100回を迎えます。この練習会でレベルアップしたり、交流の輪を広げたりしたランナーは数え切れないでしょう。本当にありがたい存在ですね。主催者に感謝です。200、300回と重ね、さらに多くのランナーのよりどころとして愛され続けることを願っています。
次回は8月9日。もちろんオアシスもあります。干からびた私を潤してください。(矢)