写真を拡大 50年ぶりに実家に戻り、民宿を営む東城千春さんとご主人の勝美さん、犬のレン君。縁側で寝そべったり、ハンモックに揺られてまどろむ贅沢な時間を過ごせる。

東城千春さん(72・つるぎ町出身)

東城勝美さん(76・つるぎ町在住・大阪府出身)

 民宿「家曽敷」があるつるぎ町一宇久藪は6月頃にはアジサイの名所として人を集める。貞光川沿いに伸びる国道438号を剣山方面へ走り、一宇支所を通過して2kmほど進むと右手に赤い大きな鳥居が見えてくる。この鳥居をくぐり、つづら折りの道を約3km上るとあじさいの里(久藪阿弥陀堂)に到着する。

 阿弥陀堂からアジサイ畑を見上げた先、標高700m付近に民宿「家曽敷」はある。「見晴らしがいいでしょう。ここから眺める雲海があまりにきれいんで、雲上の民宿って名づけたんですよ」とご主人の東城勝美さん。「雲がぐんぐん上ってきて、家の中に入って裏の窓からすぅーっと抜けていくの」と奥さんの千春さんがチャーミングに微笑む。

 かつて大阪で印刷業を営んできた東城さん夫妻。勝美さんが60歳を機に息子さんに仕事を引き継ぎ、40年間空き家だった千春さんの実家に戻ってきたのは12年前。築250年の古民家をコツコツ改修し、民宿をスタートするまでに2年をかけた。

 「最初は“ここ(久藪)にお墓があるけど自分の家では泊まれん”ていう人に使ってもらったらええと思ったんよ。でも始めてみたら、都会の人がゆっくりしにくることが多いわねぇ」と千春さん。

 毎年夏に訪れる子ども連れ客は、つるぎ町のアウトドアガイドが開催する吉野川や貞光川でのカヤックツアーやリバートレッキングに参加したり、剣山に登ったりと大自然を満喫しているという。宿では千春さんとピザ焼きを楽しんだり、野菜の収穫を手伝ったり。また、歩いて30分のところにある石鉄(いしづち)神社まで散策に出かけることもあるそうだ。

 更なる醍醐味も用意されている。今では珍しい薪で沸かす五右衛門風呂と、庭から飛び出すように造られた露天風呂だ。熱々の五右衛門風呂に肩まで浸かれば疲れは吹っ飛んでいく。日が落ちて、星が輝きはじめてから入る露天風呂は格別。満天の星空の下で浮遊感が味わえる。

写真を拡大 五右衛門風呂。身体の芯まで温まるので、深い眠りにつけそう。

 天候が良ければ、食事は縁側や庭のテーブルに用意される。地元の郷土料理である豆腐とジャガイモの田楽や半田そうめん、鹿肉のローストなどがテーブルに並ぶ。朝食は自家製のお漬物と野菜たっぷりのオムレツ、そして澄みわたった山の空気がごちそうとなる。

 昨年、新たにコテージが完成した。キッチンとトイレつきで、最大5人まで宿泊できる。大きくとった窓からは山々が見晴らせ、眼下にはアジサイ畑(6月〜7月中旬)が広がる。「この標高だから夏でも涼しいですし、雨の日の翌朝はだいたい雲海が見られますよ」と東城さん夫妻は目尻を下げる。

料金
1泊2食つき1人6000円
コテージ(食事なし)1棟1泊1万2000円
(3人まで/1人増えるごとに4000円追加、5人まで宿泊可)

住所=つるぎ町一宇久藪444
0883-67-2706(朝夕がつながりやすい)
チェックイン・アウトの時刻は予約時に決める
12月〜3月は休業

駐車場:あり
キッズスペース:なし    
多機能トイレ:あり
開業:2012年    
Wi-Fi:あり