海水浴場が開設されていない月見ケ丘海浜公園。遊泳する家族連れや子どもらが目立つ=松茂町豊岡

 新型コロナウイルス対策で海水浴場の開設が見送られた徳島県内の海岸で、遊泳する家族連れや子どもらの姿が目立っている。監視員やライフセーバーらによる救護体制が取られていないため、地域住民らは水難事故の発生を懸念。遊泳自粛の呼び掛けを近隣自治体に求めているものの、海辺への立ち入りは禁止できず、関係者は頭を悩ませている。

 海の日の7月23日午後、徳島市の小松海岸ではサーファーに交じって親子連れや学生ら百数十人が海水浴をしていた。中には服を着たまま泳いだり、バーベキューをしたりする人もいた。

 松茂町の月見ケ丘海浜公園でも、打ち上げられた流木に沿ってテントが立ち並び、家族連れや中高生ら約100人が水遊びを満喫。家族4人で来ていた徳島市の会社員男性(38)は「海水浴場の開設中止は知っていたけど、暑いのでつい足が向いた。沖に流されないように気を付ける」と話した。

 阿南市の北の脇海岸は駐車場がほぼ満車だった。近くの中林漁協などによると、6月から休日や放課後に遊泳する地元の児童生徒らが目撃されている。市には「子どもだけで海に入ったり近づいたりしているのは危ない」といった声が10件以上寄せられている。

 市によると、海水浴場が開設されなくても海岸への立ち入りは制限されない。ただ、遊泳区域を示すブイやサメよけ、見張りや救護所などが置かれないために安全管理が不十分となり、水難事故が懸念される。

 中林漁協の濵覚身組合長(70)は「今後は海水浴客がもっと増えるだろう。沖まで行けないようにするなど、事故が起きる前に行政は手を打つべきだ」と訴える。

 事故を心配する声を受け、市は駐車場など11カ所に開設中止を知らせる看板を設置。ホームページや広報紙でも安全対策が取られていないことを周知しているものの、「海岸への立ち入りを禁止するのではない。利用者は小さい子どもから目を離さないなど、安全に十分配慮して」と呼び掛けるのが精いっぱいだ。

 県内の海岸は県が管理し、海水浴場の開設期のみ市や町が安全管理を担う。阿南市商工観光労政課は「管轄外なので口を挟めないが、遊泳は自粛してほしい」と打ち明ける。

 県運輸政策課は「今のところ苦情や問い合わせはなく、監視員配置などの安全対策は考えていない。海岸は誰でも自由に使えるので事故が起きても自己責任になる」。松茂町産業環境課も「開設中止の周知しかできない。海で体調が悪くなっても責任は取れない」としている。