座席数を減らした食堂で昼食を取る登山客=剣山頂上ヒュッテ

梅雨明け最初の週末、多くの人が剣山への登山を楽しんだ=1日、山頂周辺

 新型コロナウイルスの国内新規感染者数(1日当たり)が1500人を超えて初の週末となった1日、剣山登山口の見ノ越駐車場(徳島県三好市東祖谷)は朝早くから県内外の車で埋まった。四国や関西圏をはじめ、遠く宮崎や石川などのナンバーも。大阪や香川から訪れたツアーバスもあった。

 登山リフトで見ノ越駅から西島駅に向かう。標高1750メートル。午前9時の気温は18度。ひんやりとする空気が心地よい。この日、麓の美馬市穴吹町の最高気温は33・7度を記録した。

 剣山頂上ヒュッテには、登山客が詰め掛けていた。飲料を買ったり、昼食を食べたり。「例年の土曜と同じくらいの利用がありますね」。管理人の新居智次さん(62)は対応に追われた。

 今シーズンの営業開始は当初から2カ月以上遅れた。4月28日に予定していたが、緊急事態宣言が出ていたため延期し、7月1日にオープンした。

 休業中は「コロナに対処するための期間」と位置付け、感染防止策を進めた。密接や密集を避けるため▽行き来が激しい風除室を拡大▽食堂は昼食時の座席数を43から26に減らし、夕食時はグループごとに席を配置▽新たにカウンターを設け、注文時と返却時を分離―するなどした。

 布団の利用を避けるため、宿泊客に寝袋の持参も呼び掛けている。7月31日に宿泊した大阪市の40代男性会社員は「剣山は1年に1回は登っている。ヒュッテが感染予防に気を遣ってくれているので安心できる。私たちも寝袋を用意するなど対策している」。互いに協力しながらコロナ禍での登山に臨む。

 経営面では大きな打撃を受けている。年間売り上げの2割を占める5月が休業となり、7月の宿泊者数も前年比45%にとどまった。長引いた梅雨の影響で23日からの4連休にキャンセルが相次いだ。

 全国的にも同様の傾向で、山小屋を守るための動きが広がっている。市民が「山小屋支援プロジェクト」、アウトドア雑誌が「山小屋エイド基金」を立ち上げ、それぞれクラウドファンディングで資金を募っている。プロジェクトには6月末までに約6200万円が集まり、基金は8月2日現在、約8440万円に上る。支援対象には剣山頂上ヒュッテも含まれており、順次分配される見通しだ。

 新居さんは感謝しつつ「これからも気持ち良くヒュッテを使ってもらえるよう、全国の登山客にアドバイスをもらいながら改善したい」と言う。

 明るい兆しも見られる。県の宿泊料助成キャンペーン「とくしま応援割」の効果もあり、昨年は7%だった県内宿泊者の割合が、今年7月は12%に増えている。8月の予約者数は昨年の8割まで戻ってきた。

 「登山客と一緒に山を守って、一緒に山を楽しみたい」と新居さん。休止している風呂の再開も目指している。