開発した検査装置で梅肉内の異物を探す山口特任講師=徳島市の徳島大

 徳島大ポストLEDフォトニクス研究所の山口堅三特任講師(光学)らのチームが、物体の内部を通り抜ける透過性の高い「近赤外光」などを利用し、食品に混入した異物を見つける独自の検査技術を開発した。金属探知機やエックス線での検査では発見しづらかった昆虫や毛髪、樹脂など、有機物の検出精度向上が期待される。既に特許を取得しており、製品化を目指す。

 検査では、無機物、有機物を問わずに対応できる近赤外光と、特定方向の光だけを通す偏光板の特性を活用。①偏光板2枚の間に検査対象物を置き、LEDで近赤外光を当てる②2枚の偏光板の向きを同じにした場合と1枚だけ角度を90度ずらした場合を、それぞれ近赤外光に対応したカメラで撮影―の手順で行う。

 2枚の画像を重ねてパソコンで処理すると、光の透過具合から異物の有無が分かる。偏光板と画像処理によって検査対象を真っすぐに通り抜けた光だけを取り出すことができ、異物が見つけやすくなる。

 和歌山県工業技術センターなどとの共同研究。ゼリーやジャム、キムチなどへの異物混入を想定して実験を重ねた。その結果、金属や石などの無機物をはじめ、昆虫といった有機物についても、毛髪程度の0・1ミリ四方の大きさから検出できるようになった。

 2018年12月に特許を取得。検査装置を試作し、昨年3月ごろから県外の食品工場に2台設置して研究を進めている。厚みのある異物は近赤外光を通しにくいため検出しづらいといった課題もあり、光と電波の特性を兼ね備えた「テラヘルツ光」など波長の異なる光を併用して検査技術の向上を図っている。

 山口特任講師によると、食品の検査では金属探知機やエックス線を用いるものの有機物の検出は難しい。最終的に目視で異物の有無を確認しているが、見落としのほか、検査時に毛髪などが混入する恐れがある。

 国民生活センターに寄せられた異物混入に関する相談は虫が18%と最多で、有機物が半数余りを占めている。山口特任講師は「異物の混入は企業の信頼に関わる。検査の精度向上につなげたい」と話した。

 《近赤外光》 波長が、人の目に見える「可視光」と赤外線の間に位置する光。太陽光にも含まれる。物体の内部を通り抜ける特性が食品に対して高く、対象物に当てた光を計測すると小さな密度の違いを判別することができる。果実の糖度計などに応用されている。